貿易の要・国際貿易港ランキング ~2017年海運業界はどうなる?韓進破たんによる影響とは~

船井総研ロジ

Pen Iconこの記事の執筆者

物流コンサルの船井総研ロジ

   
国内最大級の物流コンサルティングファーム。物流・ロジスティクス領域において、戦略・戦術の策定から実行までを一貫してサポートする日本最大級の総合物流コンサルティング企業です。

≫ 物流コンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

海の上で何がおこっているか、そこから世界の経済が垣間見えるかもしれません。
いかに技術が発展しても、資源エネルギーや食料品など、大量輸送には海上輸送が不可欠です。輸送機関別の貿易額の推移をみると、2015年日本における総貿易額に対する海運貿易額の割合は輸出で72.3%、輸入では73.9%をしめています。
FTAの普及やTPPの導入に向けた動きが本格化する中で海上輸送は経済を映す鏡といっても過言ではありません。

港別コンテナ取扱個数ランキング

以下は1980年と2015年の港別コンテナ取扱個数ランキングです。
1980年代にアジアの玄関口として輝いていた日本の貿易港がランク外となって久しく、昨今では中国や韓国の貿易港が存在感を高め、北米や欧州とアジアを結ぶ基幹航路は日本を素通りしつつあるのが現状です。

ランキング1位の上海港は中国最大の貿易港で、バース数は1,191ヶ所、岸壁の長さは123.99キロメートルの巨大貿易港です。
主な取扱貨物は、コンテナの他、石炭、石油、鉄鉱石、航路は月間300航路、コンテナのみで2,700便にものぼります。
2017年までに洋山深水港区における、中国初の自動化コンテナ埠頭建設工事「洋山深水港第四期工程」を完成させ、上海港のコンテナ取扱量を4千万TEUへ引き上げる予定です。
しかし近年、中国やブラジルをはじめとする新興国の景気減速や、就航している商船の過剰供給による運賃市況の低迷など海運業界には不安定な要因もあります。

混迷を乗りきる新アライアンス

需給不均衡からくる運賃市場下落、収支悪化が問題となる中で複数の企業がアライアンスを組み、主要な航路では共同で定期航路を運航しています。
日本郵船、商船三井、川崎汽船の国内大手3社は、台湾の陽明海運、独ハパックロイドと、コンテナ船の新アライアンス「ザ・アライアンス」を発表しました。
コンテナ船のアライアンスは現在4つありますが、買収などで船社の数が減り、再編後は3つに集約される予定です。

韓進破たんとその影響

海運業界の再編が進む中、2016年8月、韓国海運最大手の韓進海運の経営破たんという衝撃的なニュースが世界に流れました。
韓進海運に所属する船舶が世界各地で入港を拒否され、荷主は代替発送手段の確保に奔走するという世界的にも深刻な状況に陥りました。
9月はメーカー各社が感謝祭やクリスマスの年末商戦に向け在庫を補充するピーク期に当たるため、韓進海運の経営破たんは最悪のタイミングともいえるでしょう。
また、同社が基盤とする釜山港は韓国を出入りするコンテナ全体の7割程を取り扱っており韓国経済に与える影響も深刻です。
9月の釜山港の積替え貨物は前年同月比約5%減となりましたが、本当の影響がどの程度になるのか、についてはもう少し様子をみる必要がありそうです。
新アライアンスがスタートする来年4月以降の運賃市場の変化を見ていく必要があるといえるでしょう。

船井総研ロジ

Pen Iconこの記事の執筆者

物流コンサルの船井総研ロジ

   
国内最大級の物流コンサルティングファーム。物流・ロジスティクス領域において、戦略・戦術の策定から実行までを一貫してサポートする日本最大級の総合物流コンサルティング企業です。

≫ 物流コンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

その他の記事を読むArrow Icon

ページの先頭へ