クラス担任のいない中学校
校長、工藤勇一氏が主導した数々の改革施策で話題の、千代田区立麹町中学校のクラスには、クラス担任がいません。
その学年に配置されている全教員が、すべてのクラスの担任という立場で、クラス運営に携わっています。
通常の学校の『固定担任制』に対して、同校の仕組みは『全員担任制』です。
工藤校長は、全員担任制のメリットを、次のように挙げています。
①各教員の得意分野を活かすことが、生徒にとって大きな価値になる。
②指導が必要以上に手厚くなり過ぎず、生徒の自律を促せるかたちになる。
③各教員の力量の差による、クラス間の格差がなくなる。
④教育活動の透明性が高まる。
この仕組みは、企業の組織編制にも活かせると感じます。
ただし、企業の組織編制には、教育・指導だけではなく、指揮・命令系統の確立という目的があります。
指揮・命令系統が複数あると、組織は混乱してしまうため、『全員上長制』は、導入しない方がよいでしょう。
委員会やプロジェクトのような横断的組織の編制、またはメンター制度の導入などによって、すべての社員が、複数の上長と関わる機会を積極的に作っていくことで、同様のメリットを得ようとするのが、よいと思います。
『学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革 ―』(時事通信社)
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