今年のトラック・物流 Gメンはいつもと違う?!強力な助っ人〇〇が参画

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田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

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2023年7月にトラックGメン(2024年11月より:トラック・物流 Gメンに改名)が発足されてから、毎年11~12月に集中監視月間が行われています。2023年度、2024年度ともに勧告が2件ずつ、これまで計4件、荷主および元請事業者に対して勧告が出されました。

トラック・物流Gメン 活動の変遷と体制強化の歩み

勧告の理由はいずれも「長時間の荷待ち」によるものです。今年の集中監視月間は1か月前倒しで10月~11月に行われます。さらに今年の特徴としては、国土交通省所管のトラック・物流Gメンだけでなく、公正取引委員会も合同で行うということです。

改めてこれまでのトラック・物流Gメン発足から現在までの活動の流れを以下に整理しました。

図:トラック・物流Gメン発足からの経緯

年月名称Gメン人数概要
2023年7月トラックGメン162名トラック運送事業における適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の監視を強化するため発足
集中監視月間による初の勧告(社名公表)2件
2024年11月トラック・物流Gメン360名倉庫業者からもトラック事業者に対し違反原因行為をしている疑いのある悪質な荷主等についての情報収集を行うため、名称を変更
2025年9月トラック・物流Gメン
(Gメンアシスタント設置)
360名トラック・物流Gメンが行う活動の総合的なサポートや分析業務を実施することで、荷主等の監視体制の強化
公正取引委員会も集中監視月間に参画

トラック・物流Gメンによる取締り強化と「下請法改正」への連動

トラック・物流Gメンの発足により、悪質荷主や元請事業者への取り締まり強化が進みました。さらに倉庫事業者からも情報収集をすることで取引適正化が加速しました。

そして今年は物効法施行だけでなく、2026年1月から施行となる取適法(正式名称:中小受託取引適正化法=下請法の改正後の名称)も関連し、集中監視月間に公正取引委員会も参画することになっています。

  • 参考コラム:知らなかったでは済まされない!下請法改正による物流業界への大激震
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【危機を好機に】トラック・物流Gメン参入で加速する「持続可能な物流」改革

これにより、「長時間の荷待ち」だけではなく、取適法に関係する「物流取引における書面交付・保存状況」「不当な料金の設定や協議に応じない一方的な料金の設定」なども調査項目になりうる可能性があるでしょう。

また、集中監視月間のうち、10月28日~29日には「大規模荷主合同パトロール」と称して都内の荷主を中心に個別訪問することになっています。集中監視月間と合同パトロールでどの企業が調査対象か、明らかになっていませんが、本年8月に国土交通省が実施した「違反原因行為」の実態調査の結果等、寄せられた情報が活用されることでしょう。

しかし、荷主企業としては取り組みを進めていても、関係者が多岐にわたる物流取引において、「関わる立場」が異なれば意見や見方が変わってくることもあるでしょう。つまり、発荷主・着荷主・物流事業者といった形で、それぞれの役割・責任範囲が異なる中で、寄せられた意見だけで本当に「悪質」であるかを判断するのは困難であるといえます。仮にトラック・物流Gメンからの監査が入った場合には、サプライチェーン全体で取引を見直す一つのきっかけとし、社内外へ啓蒙する後押しに活用してみてはいかがでしょうか。

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田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

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