トラックGメンの活動状況と荷主企業が注意すべきポイントについて

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朝比奈 実央

船井総研ロジ株式会社
ロジスティクスコンサルティング部

小売業や卸売業、製造業(自動車、化学品、機械など)といった幅広い分野におけるコンサルティングに従事。特に物流コスト適正化や現場改善、物流リスク評価などを得意としている。

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2023年7月、物流業界における深刻なドライバー不足対応の一環として国土交通省は「トラックGメン」を創設しました。トラックGメンは適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の情報収集および働きかけ、是正計画策定の指導を担う組織です。

企業の物流面における行政指導リスクが高まる今、トラックGメンがどのような視点で荷主企業や元請事業者を見ているのかを把握しておく必要があります。そこで今回は、トラックGメンの活動状況と荷主企業が注意すべきポイントについてお伝えします。

トラックGメン創設の背景

これまで物流業界では荷主及び元請事業者による長時間の荷待ち時間や、運賃の不当な据え置きなどが常態化していました。将来的なドライバーの担い手を確保するためには、荷主企業や元請事業者の協力のもと、これらの問題を解消し、ドライバーの労働環境を改善することが急務となっています。

トラックGメンはこうした課題に対応するべく、荷主や元請事業者の情報収集および働きかけと是正計画策定の指導を行う役割を担っています。

トラックGメンの活動内容と活動実績

トラックGメンは全国各地で活動を行っており、具体的な活動内容は以下の通りです。※1

  • ①トラック事業者に対する電話調査や訪問調査
  • ②荷主へのパトロール実施(荷待ち状況の現地確認等)
  • ③トラック事業者・荷主に対する説明会やトラックGメンのチラシ配布
  • ④トラックドライバーへのヒアリング(一部地域のみ)

上記の活動を通じ、トラックGメンが発足した2023年7月から2024年3月末時点までの約8か月間で、トラックGメンは2件の「勧告」、174件の「要請」、478件の「働きかけ」を行っています。最も重い処分である「(荷主)勧告」を受けた企業は社名公表され、物流業界でも大きな話題となりました。

処罰の対象となる違反行為とは?

国土交通省の調査によると、トラックGメンによる「働きかけ」等の原因となった荷主起因の違反行為は以下のような構成となっています。※2

長時間の荷待ちに関する違反行為が最も多く、全体の約半分を占めています。長時間の荷待ちに対し物流会社が改善要望を出しているにもかかわらず改善が見られない場合、荷主企業もしくは元請事業者への「働きかけ」「要請」「勧告」が行われる可能性があります。

荷主企業が注意すべきポイント

それでは、自社がこうした行政処分の対象とならないためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?荷主企業がまず押さえるべきポイントは以下の2点です。

物流現場の実態把握

まずは、こうした是正指導の対象となってしまうような実態が自社の物流現場で発生していないか、現状を把握しなければなりません。中には、委託先会社から何も言われていないから問題ないと考えている物流担当者もいらっしゃるかもしれません。

しかし、委託先から何も要望がなくとも、長時間の荷待ち時間や待機時間の発生有無や無理な配送依頼をしていないかなど、荷主企業側から確認することが必要です。

契約の書面化

次に、取引内容の書面化がポイントです。物流会社から値上げの要請が来た場合、回答を口頭だけで済ませるのではなく、書面に残しておくことが重要です。これは、トラックGメンなどによる調査が入った際、物流会社からの要請にきちんと対応しているというエビデンスを残すためです。

その他にも、物流取引の適正化や物流統括者選任、自主行動計画の策定など、荷主企業に求められていることは多くあります。自社を物流リスクにさらさないために、物流担当者は行政の動向をしっかりと把握しておく必要があります。

最後に

今回ご紹介した通り、2024年を迎え、ドライバーの労働環境改善に向けて物流業界における行政の取組みはますます本格化しています。そこで、最新の行政動向をキャッチアップしたい方へ特別なご案内です。

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