荷主の責任範囲とは?運送事業者の法令遵守
運送事業者に関する法律は、道路交通法や道路運送法、労働基準法など多岐にわたります。そのうえ、法令等のルールは運送事業者の企業努力だけで守れるものではありません。
例えば、積載重量の遵守や拘束時間の適正化は特に荷主の協力が求められる事項です。そのため、荷主が適切な対応を取らずに運送事業者が違反を行った場合には、委託元である荷主の責任も追及されます。荷主側におけるリスクについて正しく理解し、委託している運送事業者の業務実態を把握し、場合によっては一緒に改善を実行することが必要になります。
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目次
運送事業者の法令違反に荷主が関与していると判断された場合
運送事業者の法令違反に荷主が関与していると判断された場合、貨物自動車運送事業法に基づき、荷主の関与度ごとに処分が3つに分かれます。(注1) 具体的にどうなるのでしょうか、ご説明します。
荷主勧告の発動
運送事業者の違反行為が主として荷主の行為に起因するものであり、かつ、運送事業者への処分のみでは再発防止が困難であると認められる場合に発動します。荷主勧告を発動した場合、当該荷主名及び事業の概要が公表されます。下記5つの観点から、荷主勧告の要件に該当するか否かが判断されます。
- ①非合理的な到着時間の設定
- ②やむを得ない遅延に対するペナルティの設定
- ③積み込み前に貨物量を増やすような急な依頼
- ④恒常的に発生する手待ち時間に対して改善措置を行わない場合
- ⑤荷主が事業者に対し、違反行為を指示、強要など
告書の発出
荷主勧告には至らないものの、運送事業者の違反に関し荷主の関与が認められる場合に発出します。
協力要請書の発出
運送事業者の違反に関し、荷主の明確な関与は認められないものの、当該違反の再発防止のため、荷主の協力を要請する必要がある場合に発出します。
近年、SNSなど情報源の増加により、法令違反等の企業のマイナスな情報は広がりやすくなっています。上記3つの中でも、荷主名及び事業の概要が公開される荷主勧告は、企業のブランド価値を大きく損なうリスクがあります。
荷主企業が目を向けるべき2024年問題
物流企業の就業状況が変化する中で、荷主企業は運送事業者に選別されることになります。運送事業者に要求している物流サービスの現状把握・見直しが求められます。その具体的な進め方は、5つのステップに分けて考えられます。
- ①自社の責任範囲と現状物流体制の把握
- ②分析・評価
- ③問題及びリスクの抽出
- ④改善策の策定
- ⑤実行
しかしながら、上記ステップの実行は容易ではありません。例えば、② 分析・評価に関しては、業界の水準を含めた多角的な視点が必要であり、③ 課題の発見に関しては、改善の優先順位をつける必要があります。
船井総研ロジの2024年問題リスク診断では、物流リスク総合評価・物流管理リスク評価で現状を可視化し、課題の優先度と具体的対応策を提示します。「問題の所在が絞り込めない」「何から取り組むべきか分からない」といったお客様は、ぜひ物流リスク診断をご活用ください。
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もはや2024年問題はドライバーを抱える物流・運送会社のみの問題ではなく、荷主企業も輸配送距離や物量、時間の使いかたを見直さなければこれまでの物流体制を維持できなくなるリスクが潜んでいます。
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2024年問題が荷主企業に与える影響について整理しました。時間外労働の上限適用によって生まれる荷主企業のリスクとは?荷主企業は具体的にどんな対策をとればいいのか、くわしく解説します。
<参考文献>
注1:国土交通省自動車局.“荷主勧告制度改正の概要“.国土交通省.2014-01.
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