今後の荷主の責任領域はどこまで?今、荷主企業が最も注意すべき「荷主勧告制度」とは
「荷主勧告制度」について正しく理解できていますか?国土交通省では下記の通り定義付けられています。
「貨物自動車運送事業法 64条第1項の規定により、実運送事業者の違反行為が主として荷主の行為に起因するものであり、かつ、実運送事業者への処分のみでは再発防止が困難であると認められる場合に発動するもの。
荷主勧告を発動した場合、当該荷主名及び事案の概要を公表する。」 物流業界に向けられた行政の意識は、今後更に色濃くなっていくと思われます。荷主勧告発動の対象となり得る荷主企業の行為とは何か、どこまでが責任領域であるのかを正しく抑えておく必要があります。コンプライアンスの基本原則でありますが、法令を遵守し、運送事業者との取引の適正化を図る必要があります。今回はこの「荷主勧告制度」が発動されるまでの流れと社名公表されない為の対策について解説いたします。
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荷主が関与していると判断された事例とは?
荷主勧告制度は運送事業者の法令違反行為に対して、その行為に荷主が関与している場合に発動されます。荷主勧告発動の対象となり得る行為事例は下記の通りです。
|時間|ドライバ―の労働時間のルール違反
荷主企業都合で積荷の準備ができておらず、出発時間が遅延したにも関わらず、到着時間の変更をしなかった
|時間|ドライバ―の労働時間のルール違反
積込前、荷降ろし前の手待ち時間が毎日発生している。改善の申し入れをしているが、改善されていない
|過積載|過積載運行
荷主企業の担当者が、当初予定より貨物量を増やした輸送を荷捌き場で指示した(物流企業は断れず運送することになった)
|速度超過|速度超過の危険
延着の場合は商品買取などのペナルティを課している。たとえ大雪など天候による影響でも例外ではない
「荷主勧告制度」発動までの流れは下記の通りです(図表①)。荷主関与の事例でも記載した通り、ここでのポイントは運送事業者の違反行為に起因する行為に対してピンポイントの期間で荷主関与したということではなく、その行為が常態化していることが問題となります。
また、弊社に寄せられる荷主企業の相談内容としては、運送事業者から様々な要請(値上げ要請等)を受けているが、「どう対応しなければならないのかわからない」、「どのようなときに社名公表されるのか分からない」といった声を多く耳にします。
当然、物流事業者からの要請に即対応できない内容もあるかと思います。そういった場合はきちんと運送事業者とのやり取りをエビデンスとして残せるような書面で対応し、要請に対して改善や対応できない理由もきちんと添えて回答するということがポイントです。
荷主に課せられる責任と対応策とは?
今後、荷主企業の目下の課題となり得るのは「安定供給の確保」です。荷主企業は運送事業者に選別されることが想定されます。今、荷主企業が取り組むべきことは2つです。「物流サービスの適正化」と「取引物流費用の適正化」です。
まずは、運送事業者に要求している物流サービスの現状把握及び見直しが必要です。現状把握及び改善活動の主なステップは下記の通りです。
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知らないとマズイ 物流監視御三家の動きと荷主がとるべき対策
運賃交渉や運送委託条件の制限、行政からの指導といった物流リスク要素が山積みであるかと思います。その中でも何を注視すればよいのか、組織をどのようにマネジメントをするのか、わからない物流担当者の方も多いのではないでしょうか。
資料では、「物流監視御三家(厚生労働省・国土交通省・公正取引委員会)」の動き、2024年に荷主が最も注意すべきこと、それらに対する具体策を解説しています。
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