「2026 年問題」を乗り越える競争力へ!~ 荷主企業が取り組むべき物流 BCP の視点 ~

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千葉 桃華

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクス支援部
東京コンサルティンググループ アソシエイト

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多くの企業が 2026 年問題に注力していますが、昨今世間で注目されているシステム障害など複合的なリスクにより物流が停止した場合の事業継続計画(BCP)には、まだあまり目が向けられていません。

特に、中堅・中小企業の物流 BCP における真のリスクは、大企業のような大規模な災害やシステム障害だけでなく人手不足や高齢化の進行により、物流現場そのものが回らなくなることも想定しなければなりません。物流の「運べないリスク」は、単なる法令対応ではなく、企業存続を左右する経営戦略上の重要課題です。

本稿では、2026 年問題を契機に強化が求められる、競争力の源泉となる物流の BCP に焦点を当て、荷主企業が押さえるべき視点を解説します。

国内で BCP が求められる理由:複合リスクの増大

従来の BCP 対策といえば、地震・豪雨などの自然災害への備えが中心でした。しかし近年、物流停止リスクは複合化しています。特に、システム障害による物流停止リスクが急速に高まっています 。

WMS や TMS(倉庫管理システムや配送管理システム)が停止すれば、出荷指示が出せない、在庫が見えない、配送計画が組めないなど、即座に商流全体が麻痺します 。法令による義務化を契機に、このシステム障害や災害、さらには人手不足といった要因が絡み合う複合的なリスクへの対応が急務となっています。

物流 BCP の考え方:リスクの優先順位付け

事業継続のためにまず必要なのは、災害・サイバー攻撃・システム障害を含めた複合的なリスクマップの作成です 。 「何が止まれば、どの顧客へのサービスがどれだけ遅延するか」「どの商材を優先的に復旧させるか」等を可視化しておくことで、BCP の優先順位と復旧手順が整理されます 。

必要視点:運用の可視化と連携体制の整備

リスクを可視化した後の段階は、BCP 運用の可視化と体制整備です 。ここで重要なのは、縦(3PL/協力会社)×横(他荷主/仕入先)の連携で、事業継続の体制を整備する段階となります 。

  • 共同配送や代替輸送網の確保
  • バックアップ倉庫や複数拠点運用の検討
  • オフラインでの最低限の運用手順の整備

これらの対策は、災害だけでなくシステムが停止した場合にも有効です 。特に DX が進む今、システム依存度が高い企業ほど“止まった時の運用”を明文化しておくことが競争力そのものになります 。

さいごに

企業の業績アップのための取り組みへと格上げする企業が増えています。その中で、企業経営を持続可能なものにするため、BCP への取り組みは必要不可欠です。その第一歩が、複合リスクの可視化と BCP 運用体制の整備です。第一歩を踏み出すためにも、まずは「自社の現状を知る」「他社の取り組みを知る」ことから始めてみてはいかがでしょうか 。

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