2024年問題解決と積載率向上を同時に叶える「中継輸送」の留意点

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下花 慶志

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクス支援部
東京コンサルティンググループ アソシエイト

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2025年4月に改正された物流総合効率化法では、荷主企業に対してトラックの積載率向上への努力義務が課されています。高い積載率を維持するためには、帰り荷の確保や実車率向上等に努める必要があり、本法への対応策として、労働時間上限規制強化による「2024年問題」における対策としても取り上げられていた「中継輸送」が、昨今より注目されています。

今回はこの中継輸送について、具体的なメリットとデメリットについてお伝えいたします。

中継輸送が注目されている理由

中継輸送とは、長距離輸送において複数の拠点を経由して荷物を輸送する方法であり、導入することで以下のようなメリットがあります。

1. ドライバーの労働時間短縮

長距離区間を1人のドライバーが連続して運転するのではなく、中継地点でドライバーが交代することで、1人あたりの運転時間を短縮することができます。これにより、時間外労働の上限規制に対応し、地場のドライバーのみで運行が組めるようになるため、人手が確保しやすくなることで、「2024年問題」の対策にもなります。

2. 輸送効率の向上

中継地点で荷物の積み替えを行うことで、車両の積載率向上が期待できます。また、長距離輸送では帰り荷が確保しにくいという難点がありますが、中継輸送ではほとんどが中短距離輸送で行えるため、実車率が向上し、効率的な輸送を実現できます。

3.災害時のリスク分散

災害などで配送ルートが寸断された場合、複数の中継地点を設けておくことで、臨機応変なルート変更がしやすくなるなど、BCPの観点からもメリットを享受することができます。

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中継輸送を導入する際の注意点

中継輸送には上記のようなメリットがありますが、導入に際して以下のようなデメリットも存在します。

1.初期投資及び運営コスト増加リスク

新たに中継拠点を設ける場合、土地の取得・賃借費用、施設の建設・維持管理費用、荷役設備(フォークリフトなど)の導入・維持費用などが発生します。既存の施設を活用する場合でも、中継輸送に対応するための改修等が必要になることがあります。

2.リードタイムが長くなる

中継輸送を導入することで、中継地点を経由する必要がある点や、荷物の積み替え作業等の時間が必要となるため、従来の長距離輸送時よりリードタイムが長くなる可能性があります。

3.運行管理の複雑化と連携の難しさ

中継輸送では、複数の運送事業者やドライバーが関与することが多くなります。そのため、各拠点での到着・出発時刻の調整、荷物情報の正確な伝達、遅延発生時の迅速な対応など、関係者間の密なコミュニケーションと高度な連携が不可欠です。この連携がうまくいかない場合、輸送効率が低下する可能性があります。

さいごに

上記のように、中継輸送にはメリットとデメリットが存在します。中継輸送導入による効果を最大限に発揮するには、拠点位置や車格、物量などの現状把握を行った上で、導入に伴い発生するコストやリスクを抽出し、導入後の効果を図る緻密なシミュレーションが必要となります。

しかし、中継輸送は2025年4月より始まった積載率向上の努力義務への対応や、2024年問題対策として最適であり、持続可能な物流体制を構築することができます。この機会に、皆様も中継輸送の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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下花 慶志

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