現状拠点実態把握のための定量分析~物量~

拠点配置の現状把握は拠点数や各拠点に必要となる機能の仮説検討にとって重要なステップです。今回は輸配送物量と保管物量に焦点を当てた現状把握について解説いたします。

後述の物量把握を行う事で、輸配送においては納品先分布から拠点を置くべきエリア、保管においては在庫回転の効率性からあるべき倉庫の規模や機能に対する仮説立案に活かすことができます。

輸送・配送物量把握は最適な物流拠点の仮説を立てる重要な要素

輸送・配送物量把握では出荷元から、どのエリアにどの程度の物量が出荷されているかを把握することが重要です。自社の出荷実績データより、納品先エリア別、都道府県別の輸送・配送規模を把握します。出荷件数や出荷重量が特に多いエリアを地図上にマッピングする事で自社にとって重要な納品先の位置関係を可視化し把握することも重要です。

また、出荷物量波動も現状実態を掴むには重要です。物量波動とは季節やイベントまたは業界や商品の特性によって生まれる物量変動の波の事を指します。週別、月別、曜日別のように分析期間をカテゴリ分けし、各拠点で出荷物量にそれぞれどのような特徴があるかを分析します。合わせて納品先毎に契約上の納品リードタイムを整理しておきます。

これらの分析結果は、自社にとって最適な拠点(エリア・数)や輸配送体制の仮説を立てる重要な要素となります。

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保管物量把握で考慮すべきポイントがわかる

保管物量把握では「在庫保有日数(月数)」や「在庫回転率」などの代表的な指標が存在します。これらの試算を行う事で現状の在庫の持ち方把握及び、あるべき在庫量の検討を行います。

まず「在庫保有日数(月数)」は当該センターが何日(月)分の在庫を保有しているかの指標です。在庫保有量と需要量は日々変動するものであるため、一定期間の平均値で計算する場合や需要量は平均値を使用し、在庫保有量は月末や期末の保有量で計算する場合があります。

対して「在庫回転率」とは在庫の流動性を1年(もしくは月間や日)で何回転するかを回転率で評価する指標です。在庫回転率が高いほど、在庫の入れ替わりが早く、回転率が低いほど、長期に渡り在庫が滞留していることを示します。

そのため、在庫回転率が高い方が、仕入れに掛かった費用を短期間で売上に転じる事ができていると言えます。一方、物流側からすると荷扱いの頻度・量が多くなるため、倉庫内設計にて考慮すべきポイントとなり得ます。

  • ・在庫保有日数(月数)=在庫保有量 / 1日(月)当たりの需要量
  • ・在庫回転率(年)=年間の総需要量 / 在庫保有量

物流データ分析とどう向き合っていくのか

上記の指標は物流現状把握において一部の指標であり、その他指標が多数存在します。しかし企業や各センターによって数値の収集方法や期間が様々であり、場合によっては数値自体が収集不可といった場合もあります。計算式にある数値をそのまま当て込めるようなことは稀であり、どこかで壁に当ってしまい苦戦するケースがほとんどです。

ただ現状把握前の与件設定で、諸条件を揃えるなどの工夫を行う事で真に近い数値を試算する事は可能です。所持しているデータ・情報からどのように必要な結果を算出できるかという考え方もデータ分析には重要となります。

さいごに

2024年7月24日(水)には拠点配置検証をテーマとしたセミナーを開催いたします。本セミナーでは拠点配置検討の全体像、現状把握の進め方、拠点配置仮説案の検証・評価方法などについてお伝えいたします。新拠点構築を検討されている方、アイディアはあるが比較・評価方法が分からないという方などに必見の内容となっております。是非ご受講いただき、拠点配置検証の流れのイメージを掴んでいただければと思います。

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現状拠点実態把握のための定量分析~物量~

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