物流コンサルタントの視点 2017.03.09

大型物流施設建設ラッシュの背景

物流に携わる方だけでなく、一般の方々もテレビCMで目にする機会が多くなっている物流不動産(大型物流施設)について今号ではお伝えします。

物流不動産業界はまさに建設ラッシュと言えます。

当社調べでは2017年以降に関東エリア〔東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県〕300万㎡以上、関西エリア〔大阪府・兵庫県〕200万㎡以上の開発が予定されています。

なぜ、このように次々と大型物流施設が建設されているのでしょうか。

これまでの倉庫は貨物を保管することを目的に薄暗くてあまり綺麗ではないものも少なくはありませんでした。

しかし近年の大型物流施設は通勤のための駐車場・駐輪場が充実しており、作業エリアには十分な照明と冷暖房が完備され、女性用のトイレ・パウダールーム・更衣室はもちろんのこと敷地内にコンビニエンスストアや託児所、建物内に休憩所やカフェテリアが併設されていて働きやすい環境が整っています。

従業員にとって働きやすい・働きたいと思われる環境づくりは欠かせないものとなっています。

これらの設備は利益を生まない(保管料が発生しない)からと言って軽視できない状況になっており、ここを如何に充実させられるかが人手不足の環境下でより多くの労働者を集められるかの差別化の一つになっています。

大型物流施設の建築ラッシュにはもう一つ物流不動産ビジネスという側面があります。

物流不動産の提供者は、従来の倉庫事業者・外資系ファンド・国内ファンド等様々です。

従来の倉庫事業者は土地や建物をすでに所有しているので、それをそのまま活用する若しくは取り壊して新たに物件を建設するといった手法なので比較的分かりやすいと思います。

では、ファンドと呼ばれる彼らがどのように物流不動産ビジネスを展開し収益を得ているかを解説します。

彼らは物流REIT(リート)事業者とも言われます。REITとは不動産投資信託の事を指し、公衆(投資家)から資金を調達し不動産に投資を行う金融商品です。

始めに投資信託として投資家から資金を調達し、調達した資金を基に資産(土地・建物)を取得します。

取得した資産の所有権をSPC(特別目的会社)に移転させ、ファンドがSPCに出資する形をとることで配当(利回り)を得ています。

投資家へは取得した配当から投資額に応じた利益配分を提供します。

一方で入居テナントとの賃貸借契約やマスターリース契約はSPCが行い、管理・運営はアセットマネジメント企業と契約をすることでリスクを軽減しています。

物流不動産へ投資するメリットは契約期間が長いこと、テナント企業の入れ替わりがそれほど激しくないこと、賃料が安定していること、メンテナンスにあまり費用がかからないこと等が挙げられています。

物流不動産の需要は今後も伸びることが予想されます。

それに伴い、建設もとどまることなく継続されていくでしょう。

建設エリアは中央環状線沿線→外環道沿線→圏央道沿線と広がっていますが、一方で「賃料が高い」「天井高が高く商材によっては不向き」「原状回復費用がかさむ」と言った声も聞かれます。

利用を検討されている方は取扱商材に相応しい物件かどうかを見極める必要があります。

投資面からは当然ながら外部環境や情勢の影響を受けるため決してノーリスクハイリターンではないということを注意していただきたいと思います。

Pen Iconこの記事の執筆者

普勝 知宏

船井総研ロジ株式会社 チーフコンサルタント

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