共同配送を行う上で認識して頂きたいポイント
ちょうど1年前の2017年7月28日に「総合物流施策大網(2017年度~2020年度)」が閣議決定され、今後の政府における物流施策や物流行政の指針が示されたことは、皆様の記憶に新しい事かと思います。
その大網の中には、「サプライチェーン全体の効率化・価値創造に資するとともにそれ自体が高い付加価値を生み出す物流への変革(=繋がる)~競争から共創へ~」を実現する為の取り組み施策の1つとして、共同輸配送の促進が挙げられております。
荷主企業においては、個別で物流会社との共同配送着手に向けた交渉や、競合他社と共同配送着手に向けた取り組みを行っている荷主企業が少なくないと思います。
今号では、共同配送を着手する上で、認識して頂きたいポイントについて、いくつか整理をしていきたいと思います。
- :配送費のコストダウンが必ずしも実現出来る訳ではない
共同配送は、輸送の省エネ効果があるとともに、輸送コストの削減にも一定の効果がある事が定量的に把握されております。
ただし、以下記載の企業同士の組み合わせ及び届け先での条件緩和があって初めて実現可能なものとなる事を認識して頂ければと思います。
【企業同士の組み合わせ条件】
・近隣性(届け先の重複率がどの程度あるのか)
・波動性(出荷の波動が逆になっているのか)
・類似性(荷物のサイズや重量に共通点が多くあるのか)
【届け先での条件緩和】
・配送希望時間帯の緩和(AM着指定から15時までの配送対応)
・配送日の緩和(毎日配送から隔日配送対応)
・納品条件の緩和(相対納品から指定場所納品への変更及び各階納品から納品場所の集約対応)
- :共同配送は乗合バスと考える
共同配送を行う運送会社では、様々な商品を日々変動する物量に対応しながら、効率の良い配送ルートを構築し、配送業務を行っております。
上記【届け先での条件緩和】でも述べさせて頂いている
配送時間帯に関する細かい指定は、共同配送の導入を阻害する要因となってしまいます。
荷主企業にとっては、届け先(顧客)からの要望ですので、なるべく希望に沿いたいという気持ちになるかとは思いますが、届け先(顧客)においても物流を取り巻く環境は同様ですので、双方で折衷案を模索し、納品時間帯の緩和を行って頂ければと思います。
- :同じ県内でも配送料金は変わる
共同配送を行っている運送会社から提示される共同配送の料金は、陸運局に届出しているタリフをベースにしている事が多いようです。
つまり、配送の基点となる倉庫からの距離及び重量によって配送料金が決められますので、同じ県内であっても、運送会社の拠点から距離が離れている届け先が多く、効率的な配送計画が組み立てられない場合は、料金が変更となる場合が考えられます。
荷主企業としては、届け先(顧客)の情報だけでなく、共同配送会社の拠点に関する情報についても予め収集し、配送委託をする運送会社のスクリーニングをして頂ければと思います。
- :混載されている荷物の把握
共同配送とは、同業種の荷物だけでなく、異業種の荷物も混載されて輸送が行われる可能性が非常に高い輸送です。
共同配送を行う運送会社が混載している商品によっては、匂いが付着してしまったり、異形物との混載で、外装箱の破損が多く発生する可能性もございます。
荷主として、配送の委託を検討したい共同配送を行っている運行会社に目星がついたら、その運送会社がどのような商材を取り扱っているのかという情報についても収集し、上記のような問題を発生させる要因がないかについて確認をして頂ければと思います。
今回、列記させて頂いたポイントは、共同配送を着手するにあたり、最低限押さえて頂きたい項目となりますが、荷主企業においては、検討はしたいが通常業務で手一杯で時間が取れない、または、上記は理解しているが、相応しい共同配送会社がなかなか見つからずに苦戦しているとお悩みの荷主企業もいらっしゃるのではないかと思います。
弊社では、このようなお悩みをお持ちの荷主企業に対して、配送情報に関する分析を行ったり、適切な共同配送会社のご紹介(弊社では、運送会社の会員組織があり、会員となっている企業数は、約300社で、車輌保有台数は、約15,000台を数えるまでになっております)とご提案を行うというサービスの提供が可能ですので、共同配送の着手において課題を抱えている荷主企業は、是非お気軽にお問い合わせ頂けますと幸いです。