物流コンサルタントの視点 2018.06.21

物流コンペ実行の前に進めるべきこと

荷主企業にとって2017年は宅配大手3社に始まり、路線便を含む各輸送会社からの値上げに大きな影響を受けた年であったと思います。

2018年も6ヶ月が過ぎようとしているこの時期においても、輸送会社からの値上げ要請(適正化要請)は留まるところを知りません。

当社においても2017年前半までは荷主企業様から物流コンペ実行の相談を頂いておりましたが、値上げの潮流の中では受ける相談内容も変わってきました。

大きく変わった点として、物流コンペを実施する目的が“コストダウン”から“安定的な物流網の確保”に変化したことが挙げられます。

新聞やメディアで物流の置かれている立場について大きく取り上げられている中、「物流コストをさらに削減しよう!」という企業は少なく、多くは「自社の物流は大丈夫なのか?」「現状の体制のままで、いつまでも輸送する(輸送してもらう)ことはできるのか?」という視点に立たれているのだと思います。

では、“安定的な物流網の確保”を実現するために荷主企業はどのような施策を講じればよいのでしょうか。

一向に解消されないドライバー不足や行政による労働環境規制により輸送会社においては、従来のようなムリが利かなくなっているという現状があります。

これまでは、どちらかというと荷物を出荷する荷主企業側が取引上の優位性を持ち、輸送会社は仕事を受ける側・仕事を貰う側というイメージでした。

しかし運賃値上げと労働時間規制の時勢において輸送会社は、不採算な業務や他と比べて作業負荷が大きい業務を積極的には受託しない、むしろそれらの業務を真っ先に大幅な値上げ要請・輸送拒否・集荷拒否のターゲットとしました。

具体的には、『重量物を扱う業務』『長尺物を輸送する業務』『集荷時間が遅い荷主』などが該当します。

今や物流会社が受託する業務を選び、輸送する貨物を選択するという構図が完全に出来上がっています。

今後、荷主企業は物流業務を受託する側の物流会社が扱いやすい・運びやすい貨物にシフトし、自社の業務を物流会社が受託しやすい業務にスイッチしていく必要があります。

もちろん、貨物形態や業務内容の切り替えは物流部門だけで判断できるものではなく、調達・生産や販売・営業といった他部門との調整が必要となります。

しかし自社が委託している物流業務の難易度を下げることが委託可能なパートナーの幅を広げることに繋がり“安定的な物流網の確保”の実現に近づけることとなります。

もう一つの施策は、当メルマガで以前お伝えしましたが特殊作業を極力排除し、自社の物流を標準的な物流業務に推し進めることです。

納品時に発生する特殊作業、たとえば棚入れ業務や指定パレットへの積み替え、梱包資材・緩衝材の廃棄や納品パレットの回収が発生する様な業務では対応可能な輸送業者が限られます。

この様な特殊作業を委託先に要望していることを荷主企業側で把握していれば、排除する難易度は低いと言えます。

しかし中には委託先の輸送会社と納品先との間で、荷主企業が知りえない間に築きあげられてきた習慣が定着してしまっているケースも往々にしてあります。

“コストダウン”を目指すのであっても“安定的な物流網の確保”を目指すのであっても、荷主企業は自らの物流業務の難易度を知り特殊作業の有無を把握した上で、できる限り難易度を下げ特殊作業を排 除した形で物流コンペに臨むことが重要であるといえます。

まずは現状の委託業務の棚卸しを実施し、ブラックボックスを解消することがその第一歩となります。

7月20日開催のFunai物流オープンカレッジでは、他社の事例を交えながら物流コンペ実行までに行っておくべき事項、整えておくべき項目をお伝えいたします。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

Pen Iconこの記事の執筆者

普勝 知宏

船井総研ロジ株式会社 チーフコンサルタント

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