物流委託(請負)契約における費用体系について
物流作業を業務委託する場合には、委託側(荷主企業)が指定した数量と受託側(物流企業)からの請求上の数量が比較でき、乖離がないことを確認できることが監査の観点からは重要になります。
ただし実態としては数量が比較できない契約体系が多く存します。
上記のような確認不可の場合、ほとんどの場合が受託側からの数量を正として支払いがなされますが、下記問題点から委託側に過剰費用発生のリスクがあります。
(1)実態と請求数量のアンマッチ
実態と請求数量の照合は委託側ではほぼ不可能です。
委託側は基幹システムで管理可能な単位を利用し、受託側は作業合理性から管理単位を決めているため、解決策としてはどちらかが歩み寄る、もしくは換算マスタを整備することが必要になります。
今のところ、監査面で大きな問題になることは無いようですが、そもそも請求数量の検証が出来ない状態を放置することは望ましいとはいえません。
委託側が1辺30cmと認識しているケースを受託側が1辺31cmとして容積計算をした場合、ケース数量ベースと容積ベースでどの程度乖離が出るか皆様で計算してみてください。
(2)実態に合理性があるか
バラ商品を10個出荷依頼し、梱包数が2個との請求になった場合、それの合理性はどのように判断すべきでしょうか。
梱包数は1でも入るのではないか?
また梱包サイズはこの大きさが必要なのか等、その合理性を逐一確認することも困難な作業になります。
実態と請求が合致していても、実態の合理性がない場合は意味をなしません。
このような場合は委託側にて合理性を担保すべきです。
・梱包数の場合は商品容積から望ましい梱包数、梱包サイズの指示を出荷指図と併せて指示をする
・配送が車建ての場合は、商品容積、配送先住所から積み込み指示および配送ルート指示を委託側にて作成する
等の方策を検討する必要があります。
(1)(2)のいずれも、委託側がしっかりとした情報を持っておけば損失を防ぐことが可能となります。
物流に関わるマスタ整備が不十分な企業様が多いのが実態ですので、物流コストが上昇している今だからこそ、取り組んでいただきたいと思います。