物流コンサルタントの視点 2018.03.29

物流業界におけるAI活用

今や誰もが散々耳にしたであろう「物流業界における人材不足・労働力不足問題」ですが、ご存知の通り解決に導く手段が未だ見つかっていません。

しかし、自動マテハンやロボットの導入によって物流センターや倉庫内の作業については着実に省人化・省力化が進められています。

ロボットの導入によって負担が軽減される場面は『歩く』『探す』『取る』『持ち運ぶ』『積む』といった動作の部分が大半です。

これらは物流センター内における作業を標準化し、定型業務(誰が行っても間違えることなく、同じ時間/同じ品質/同じ結果を導く業務工程)を作りこむことによってロボットによる作業を実現しました。

ここで一つ注意しておきたいのは「定型業務であればロボット対応可」ということです。

いかに定型業務を作りこんでも、物流現場には非定型業務がゼロにはならないのが現状です。

非定型業務とは定型業務でないもの。

即ち、現場作業者や管理者が長年培ってきたノウハウや勘によって判断が求められるイレギュラー(予定外入庫や検品の発生、緊急出荷等)に対応する業務です。

イレギュラーが発生したときに、どう行動すべきか・何を行うべきか・何を優先すべきか・誰をどこに配置すべきか・作業はどのスペースで行うべきか等を瞬時に判断することが求められます。

この非定型業務への対応として期待されるテクノロジーの一つがAI(人工知能)であると言えます。

前出の物流センター内作業者の就労管理はAIで十分対応できるところで、全体の進捗状況を把握し「どこで作業者が充足していて、不足しているのはどこか」「誰を/何分間/どこからどこに配置転換させることで業務の滞留が解消できるか」といった経験やノウハウをもとに判断していた作業は今後AIに順次とってかわっていくでしょう。

もちろん、断片的なその場の判断の限りではありません。例えば自社の将来における取り扱い物量は、これまでの物量波動や荷量増減の傾向といった過去データから分析することである程度予測できましたが、最終消費者の購買意欲や消費動向を予測した物流センターの対応策を講じることは困難でした。

それは言うまでもなく、不確実性が高く、信用度の低い予測であったからだと言えます。

今後、ビックデータ等の活用・応用によりAI周辺の技術が革新的に発達することによってこれらの問題も解消されていくことが見込まれています。

物流センターに貨物が入荷される更に前段階である受注時点での売上増減予測を行い、その情報をもとに物流センターでは人員の配置・手配を事前に行うことが出来ます。

その情報は物流センターでとどまることなく、運送機能(実運送会社)にも共有されることで、臨時便や緊急出荷といったイレギュラーに前もって対応できる体制を構築することが可能です。

このように、AIの発展は物流センターにおいてのみではなく、受注から(調達・生産・入荷・ピッキング・出荷を経て)配送までのまさにSCM全体の最適化を推し進めるツールになっていくと言えます。

現在でも気象情報から導き出した販売予測にしたがって入出荷予測を行っているケースはありますが、今後5年10年の期間で更なる飛躍的な技術の発展によって、物流における『イレギュラー』『想定外』『緊急対応』というものが無くなっていくと言っても過言ではない状況にあります。

物流業界が大きく変わりつつある今、当社はAIをはじめとする先端技術の情報発信・サービス提供を積極的に行ってまいりたいと思います。

Pen Iconこの記事の執筆者

普勝 知宏

船井総研ロジ株式会社 チーフコンサルタント

その他の記事を読むArrow Icon