運送業界の効率化~共同配送~
目次
物流業界における効率化の壁
近年物流業界では、効率的に配送するための取り組みが進んでいます。
その背景にあるのは、ネット通販の普及などによる小口輸送の増加や、物流業界の人手不足です。
コスト削減や環境への対応などもまた、物流業界では注目の話題となっています。
それらの課題をどうクリアするか?ひとつの手段として、共同物流や共同配送があります。
しかしながら、なかなか広く浸透していないのが現状です。
その理由として荷主が、自社の取り扱い商品から考えて共同配送は不可能だ、と思い込んでいる場合が見受けられます。
物流業界の効率化への手段としての「共同配送」
まずは共同配送の基本に立ち返って考えてみたいと思います。
まず、共同配送を行う上でのメリットとは、同一カテゴリの商品を、納品先ごとに積み合わせて一括配送することにより、配送費のコスト削減が可能となることです。
また環境対策面で言えば、交通渋滞の緩和とCO2削減が可能となり、地球環境に貢献もできるでしょう。
企業が考える共同配送導入時の課題
では一体どのような理由で共同配送が広く浸透していないのでしょうか。
以下の3点が考えられます。
1.締め切り時間に融通がきかない
締め切り時間が日によって変動的である荷主の場合、運送会社から断られる場合があります。
共同配送はタクシーではなくバスと同じようなイメージです。
運送会社は予定時間に出発できなければ、その後のスケジュールに大きく影響があります。
実施するにはまずは荷主が締め時間、出荷時間の遵守に努めなければならないでしょう。
2.届け先の着時間指定
輸送効率を最もあげられるのは、着時間指定の緩和です。
配送先は特に要望していなくても、営業担当が時間指定している場合があります。
それがいつの間にか配送元である荷主も、配送先も当たり前となっている場合があるのです。
共同配送を期に、この「いつの間にか時間指定」は荷主も見直すべきポイントであることが考えられます。
時間指定などの配送条件は緩ければ緩いほど、共同配送は効率的に配送できるからです。
3.ライバル会社へ情報が洩れるのでは?という懸念
どの商品を、いくらで、どこに、いつ納品するのかなどの営業情報は共同配送を行う上で把握しなければいけない情報となってきます。
この情報は企業にとっては、外部に出したくない情報ではないでしょうか。
ましてやライバル会社には知られたくないでしょう。その理由は、この出荷情報によってどの商品がどの程度売れているのかが分かってしまうからです。
ただし、荷主以外のサードパーティー(3PLコンサルティング業者など)を介することにより、この共同配送の大きなデメリットを解消することができます。
サードパーティーが出荷情報を管理すれば、共同配送を行う荷主に他社であるライバル会社などの出荷情報が知られることがなくなります。
共同配送導入時の事前準備
以上のように、共同配送と一口に言っても色々考慮すべき点があり、共同配送を推進するためには十分な検討が必要なことが分かります。
上記以外にも例えば利用する帳票や配送サービス企画を統一したり、メンテナンスしたりする機能も必要となってくるでしょう。
またそれらを環境の変化に合わせて継続し、常に改善していく活動も必要です。
自社のみで完結しない場合は、その調整に時間もかかり、工数がとられることでしょう。このように、共同配送をやると効率化が図れるなど、「やったほうがいい!」と、頭ではわかるものの、中々実現しないのが現実なのです。
なぜならそこには、調整事項がたくさんあり、デメリットの部分も少なからず見えているからです。
「積載効率」物流業界のもう一つの大きな効率化への課題
日本国内の運送業を取り巻く状況として、「トラック輸送における積載効率の悪さ」があげられます。
具体的には、トラック1台あたりの積載効率は約41%と言われています。人手不足に加え、トラック自体は荷室の半分以上を空にしたまま配送しているということです。
その一つの対策として、配送を見直し効率化させる。その手段として、「共同配送」や「モーダルシフト」を利用することが挙げられます。
こうした手段を用いることでコストを圧縮し、安定した物流サービスを提供できることが企業成長における分かれ道になるのはではないでしょうか。
まとめ
物流やロジスティ クスの課題は表面化しにくい面もあります。しかしそれらを明らかにし解決することができれば、会社全体の改革が大きく進むはずです。物流業務の一環である配送業務の課題は、もはや現場レベルだけでの話ではなく、経営者にもまたしっかりした戦略性を持って全力で取り組んでいただきたいと強く感じます。共同配送への取り組みもまた、競争力強化のまたとないチャンスとなるに違いありません。
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