モーダルシフトの有効性

船井総研ロジ

Pen Iconこの記事の執筆者

物流コンサルの船井総研ロジ

   
国内最大級の物流コンサルティングファーム。物流・ロジスティクス領域において、戦略・戦術の策定から実行までを一貫してサポートする日本最大級の総合物流コンサルティング企業です。

≫ 物流コンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

昨今のトラックドライバーの減少により、トラック輸送による配送網に、崩壊の危機が差し迫っている事は誰もがご存知の事かと思います。

現在、国内物流のほとんどがトラックを使用した輸送によって行われております。

トンベースの比率を見てみると国内貨物輸送の内、トラックを使用して輸送された貨物は全体の91.3%にもなっております。

この事実を単純に考えれば、国内で製造・販売を行っている9割以上の貨物が安定的に商品を輸送する事が出来なくなる危機を迎えている事と考えられます。

今回はこの深刻な危機を回避する方法の1つとして、現状トラックで行っている貨物輸送を鉄道・船舶・航空便に切り替える、【モーダルシフト】について記述したいと思います。

現状の国内物流のほとんどがトラックを使用して行われている事には、明確な理由があります。

コスト

自社のみで圧倒的に物量の多い荷主企業は例外ですが、一般の荷主企業にとっては鉄道や船舶を利用した輸送はトラック輸送に比べてコストが割高になってしまう可能性がある。

リードタイム

トラック輸送に比べ、その他の輸送方法は発送から着荷までのリードタイムが長くなってしまう。
また、台風などの天候や鉄道事故などの影響を大きく受けやすい。

柔軟性

自社の発送施設に直接トラックが引き取りにくるトラック輸送に比べ、鉄道輸送は発車時刻が決まっている為に製造工程のリミットの融通が効かない。

大きくはこの3点が、デメリットと感じられ、荷主企業が貨物輸送にトラックを利用する要因である事は間違いないでしょう。

では、なぜ鉄道・船舶を使用した輸送はコストやリードタイムに比べて劣ってしまうのでしょうか?

トラック輸送であれば、自社の発送施設→目的地と輸送はトラック1運行で事足ります。

しかし、鉄道・船舶を使用しようすると自社→港or駅→目的地と中継地点を経由する事となります。

当然ながら、荷主企業は1箇所の目的地に対してトラック2運行分+鉄道や船舶の輸送費用を負担する事になります。

更には発着地の近郊に港や駅があるとは限りません。

発着地と駅や港が遠く、運行距離が伸びれば、当然その距離に応じてコストは高くなり、リードタイムは長くなっていきます。

これに対して、鉄道や船舶を使用して貨物を輸送する明確なメリットは

1.トラックから排出されるCo2の削減
2.交通渋滞の緩和
3.長距離、大ロットの輸送の際のコストメリット
4.輸送量に対してのトラックドライバーの少人数化が可能

が考えられます。

1、2については、企業というよりも環境面でのメリットとなります。

3、4についてはドライバー不足や、長時間・長距離運転による過労運転等に対応できると考えます。

ここまで記述したメリット・デメリットを鑑みれば現状の輸送にほとんどの荷主企業がトラックを使用した輸送網を構築している事は当然の事であり、今まではその方法が正解であったと言えるでしょう。

しかし、これからは今までと同様にはいきません。

トラック輸送のメリットが高くとも、運ぶトラックが見つからない時代になりつつあるからです。

1日で運行が終了する駅や港まで走る近~中距離のトラックは見つかるが、輸送に2~3日必要な長距離のトラックは見つからないという事が考えられます。

それほどまでに、トラックドライバーの減少及び高齢化はすでに深刻になっております。

2018年を迎えトラック輸送を取り巻く環境は非常に大きく変わってきております。

トラックドライバーの減少及び高齢化は表面化しており今後さらに深刻化していく事は明らかです。

すでに、佐川急便・ヤマトHDといった業界最大手の運送会社は配送料金の値上げや取扱い貨物量の規制を進めており、他の運送会社もその流れに乗ってきております。

今後、トラック輸送に関してのコスト・リードタイムといったメリットは加速度的に薄くなっていく事が予測されます。

料金水準の高騰による利益の圧迫はまだしも、商品を運べないとなれば、企業の売上に直接ダメージを与える事となってしまいます。

すべての荷物がモーダルシフトできるものではないですが、荷主企業としてモーダルシフトの導入はドライバー不足の回避策であり、長距離・大量輸送の際のコストメリット、地球環境問題なども解決するための有効な手段となります。

鉄道や船舶、航空便等それぞれの輸送手段にはメリット・デメリットがあり、トラック輸送と比較しても輸送方法は主流ではありませんが、昨今の業界環境を考えると、扱う商材や輸送要件によって、輸送モードを最構築し安定的な輸配送が実現できる体制作りが求められています。

船井総研ロジ

Pen Iconこの記事の執筆者

物流コンサルの船井総研ロジ

   
国内最大級の物流コンサルティングファーム。物流・ロジスティクス領域において、戦略・戦術の策定から実行までを一貫してサポートする日本最大級の総合物流コンサルティング企業です。

≫ 物流コンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

その他の記事を読むArrow Icon

人気の記事

ページの先頭へ