倉庫作業の省力化に効く!ズバリ2つのポイント
<物流倉庫の改善の4原則「ECRS」と業務改善事例>
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国内の物流業界に荷物が溢れているこの時期、苦しむのは荷主企業だけではありません。
車輛手配及び路線便利用による利用運送収入が激減する3PL企業もその1つといえます。
荷主及び3PL企業も含め、悪化する物流環境の中でコスト抑制するためには作業受託の生産性向上が必須となっています。
今回は『倉庫作業の効率向上に効く!可視化と管理方法のポイント』として改善するためのツール及び視点をお伝えします。
倉庫作業を改善するとなった場合、皆様はどこから手を付けられますか?
その答えは、ズバリ、倉庫作業改善の肝は①可視化と②管理手法です。
我々コンサルティング会社では現場をできる限り可視化することから始めます。
倉庫を漫然と見てもその問題点は見えてきません。
連続して発生する作業を図式化することで、目の前で起きている事象を客観的に見ることができるようになります。
何が問題なのかを誰が見てもわかる形にすることが、改善を進めるうえで最も重要といえます。
それは単に問題点を抽出するためだけではありません。
誰が見てもわかるようにすることで、関係者間で改善を進めるためのコンセンサスが取りやすくなります。
『多い、少ない』『長い、短い』などの感覚は人によって異なります。
客観的に『良い、悪い』の判断を下すためには目の前で発生している業務を定量的にとらえることが重要なのです。
だれが見てもわかる評価で、問題を絞り込むことがポイント
可視化するポイントは下記5項目です。
《可視化のポイント》
- ①作業の手順
- ②動きの細分化
- ③動作ごとの時間
- ④発生した回数
- ⑤処理した数量
上記ポイントを押さえて業務を可視化することで客観的な分析が可能になります。
「発生回数の多い動作は何か?」「時間が掛かる動作は何か?」を数字でみることで問題点をピックアップすることができるようになります。
現場を見てカンであたりを付けるような職人仕事ではなく、だれが見てもわかる評価で問題を絞り込むことが可能になります。
次に問題点が絞り込めたら改善施策を下記視点で考えてみてください。
現場改善の基本的な考え方になります。
- ①やめるための施策
- ②短くするための施策
- ③前後業務と統合する施策
改善施策は始めから完全なものができるとは限りません。
導入した施策が狙った効果を出せているのかを検証しながら、改善を繰り返すことで効果的な施策に辿り着きます。
作業改善の成果を残す倉庫と残さない倉庫の違いは、改善検証と繰り返し変えるサイクルを踏んでいるか否かで大きく分かれます。
この一連のステップを踏むことで、実行に関係するすべての人間が客観的に見て問題を共有し、評価することができます。
また、改善を繰り返すことで活動の狙いも共有できるため、目標も具体的になり活動が継続され、何より改善した新しい作業方法が定着されやすくなります。
作業改善は現場の定着によってはじめて成功となりますが、その分岐点は改善活動そのものの共有であるといえます。
『作業者任せの現場』の問題点7つ
ズバリポイントの2つ目は『管理手法』です。中でも特に注目すべきは『進度管理』です。
皆様の倉庫現場では作業の進度を管理されていますか?
倉庫現場によっては作業者または現場リーダーの頭の中で回している『作業者任せ』になっているケースに遭遇します。
『作業者任せの現場』とは例えば、ピッキング指示を倉庫現場に伝達し、あとは作業者それぞれの技量に任せて業務する。
それまでの経験とカンを基に人員を配置し、全体の進捗状況をみて、終わり時間をコントロールしている現場のことを指します。
この手法の問題点は、下記7つになります。
- ①作業者によって仕事に対して必要と考える時間の理解が異なる
- ②作業者の技量、気分次第で生産性に大きな違いが発生する
- ③②の問題に気づくことができない
- ④人材派遣(スポット作業者)を配置しても計画した生産性が発揮されない
- ⑤仕事量に対して余裕を持った人員を配置する傾向から脱却できない
- ⑥仕事の進み、遅れの把握が遅れ、リカバリーが遅れる
- ⑦⑥の原因追究と改善が図れない
上記の問題点に効果のある管理手法が、『進度管理の可視化』です。
進度を管理する場合は必ず倉庫現場に視える形で掲示してください。
掲示することで、管理者の頭の中(基準と計画)が作業者にも共有されます。
現場に掲示する進度管理項目には必ず下記6項目を含めて下さい。
- ・1日の仕事量
- ・基準時間(1つの仕事の基準となる生産性)
- ・工程別人員配置
- ・時間当たりに処理すべき仕事量(計画)
- ・時間当たりに処理した仕事量(実績)
- ・計画と実績の差
倉庫現場は広い面積に複数の人間が連携して活動しているため、管理することが困難です。
そのような仕事場を管理するには可視化すること、そして可視化したものを共有することが一歩となります。
可視化できるとその問題が見えるようになり、その状況も作業担当者と管理者で共有できるようになります。
ここまで現場が見えてくると改善ポイントが次々発見でき、省力化の良い循環が生まれます。
省力化に取り組まれる企業様は是非、今回取り上げた2つのポイントに取り組んで下さい。
必ず現場を変える一歩になります。