個建荷役費検証の手法(その1)
「自社のアウトソーシングしている委託先の物流コストが妥当なのか判断できない」前回筆者のコラム(個建て保管単価の妥当性について)では上記悩みに対して、保管費が個建契約であった場合の妥当性検証について説明させていただきました。
今回は個建荷役費の妥当性検証を行う場合にどのような手順で行うべきか、また値上げ抑制のための理論武装をどのように行うか、計2回(今回1回目)に分けて述べていきます。
荷役業務契約内容把握
まず初めに行うのは、アウトソーシングをしている場合の、荷役に関わる契約がどのように締結されているのか確認を行うことが必要です。
荷役業務契約は一般的に業務委託契約を締結しますが、その契約内容は業務量に応じた個建単価契約の場合と、月額固定や人時での作業者単価契約(固定)の場合があります。
一般的に荷主の立場としては固定費よりも、物量に応じた変動費化する方がリスクを抑えることができるといわれています。
しかしながら、変動費で個建契約を行っていても、単価の妥当性が判断できない場合、割高である事もあります。
逆に固定費として締結したほうがいい場合もあるのです。
また、管理者(センター長、現場リーダーなど)は月額固定とし、現場作業員は個建契約としている企業も多くあります。
当然管理者と作業者の時給単価は異なりますので、現場作業者の個建単価の妥当性が検証されれば問題はありません。
しかし、現場管理者が作業も行っている場合は月額固定費+個建作業費になるため二重請求となっている問題もあり得るのです。
現場調査
契約内容の確認後に行うことは現場に訪問することです。
当社メンバーが現場訪問時の見るべき視点を過去コラムで発信していますが、ここで述べる現場調査とは“作業者が何人でどのように、どれくらいの工数をかけてその作業を行っているか”ということです。
「言いたいことはわかるが実際に調査することは難しい」と思う方もいるでしょう。しかしながら、荷役個建単価の妥当性を判断する(理論武装する)ためにはこの調査なしには行えません。
基準倉庫荷役作業者算出方法のサンプルを下表に記載します。
【現場作業調査の視点】
・荷役作業員がどの作業でどのような荷姿(バラ・ケース・パレットなど)のモノをどのように(フォークリフトor台車)どれくらいの時間を要しているかをなるべく細かく細分化していきます。
・ その作業を行うために必要な生産性の考え方を設定していきます
・定量分析より1日当たりの平均物量をその工数に当てはめ生産性算出式から1時間当たりの作業生産性を算出します
※上表では余裕率を付加(アイドルタイムを加味し生産性90%)して算出している
・その作業を行うために必要なMH(Man Hour:人時)を算出します
・1作業合計MHより、その作業を何時間で行っているかを確認し、必要な作業人数を算出します
上表はサンプルであり入荷の工程を記載しております。
作業内容は細かくするに越したことはありませんが、その生産性設定の考え方をイメージできる工程でなければなりません。
算出した人数と、実際に作業を行っている作業者との人数が大きく異なる場合は、工程に漏れがないか、生産性の考え方は適当であるかを再度検証することも必要です。
この表は適切な人員で荷役業務を行えているかを判断する指標となり、荷役個建単価の妥当性判断に繋がっていくのです。
筆者の次回コラムでは算出した人数から個建荷役単価の検証について述べてまいります。
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