荷主企業も考えるトラックドライバーの働き方改革

船井総研ロジ

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労働時間の長時間化が運送事業者の一番の問題として挙がります。

政府主導の働き方改革の中でも特に「残業時間の上限規制案」が企業活動に大きな影響を与えることは明確です。

これらは、2017年3月に公表され2019年から施行予定ではありますが、運送業・建設業については深刻な人手不足を理由に適用が5年猶予となっております。

労務管理は運送事業者が行うのが大原則ではありますが、荷待ち時間の発生によって1運行あたりの拘束時間が長くなっているのが現状です。

平均拘束時間とその内訳として、荷待ち時間のない運行の平均拘束時間は11:30に対し荷待ちのある運行は13:30と平均2時間も長くなっています。(10tトラックへ1200c/sのバラ積み・卸し事例)
※トラック・バス・タクシーの働き方改革「直ちに取り組む施策」(案)より抜粋

また1運行あたりの荷待ち分布として、全体の55%は1時間以上の荷待ち、そのうち30%が2時間以上の荷待ちが発生しているのが現状となっております。

その他の労働環境面については、

・労働時間:平均2,544時間/年(全職業平均2,124時間/年より1~2割長い)
・所定外労働時間:平均426時間/年(全職業平均156時間/年より2~3倍の長い)
・年間賃金:平均423万円/年(全職業平均と平均して1~2割低い)
・女性比率は全職種平均の1割未満と低い。
・有効求人倍率は全職業平均の約2倍。人手不足が年々深刻化。
・トラックドライバーの高齢化
※国土交通省公表資料を当社にて分析した結果

などと、トラック輸送等の自動車運送事業は、産業活動や、国民生活の基盤となる運送サービスを提供する重要な産業であるものの、上記のように労働時間・賃金・ドライバー不足等の各項目で、全職業平均以下の推移です。

自動車運送事業の将来の担い手を確保し、育成・定着させることが重要です。

国にとって、必要不可欠な運送サービスの供給を安定的、持続的に確保していくためにも労働条件の改善は大きな課題となっています。

業界の働き方改革で直ちに取り組む内容として、政府も働きかけを行っております。

検討されている施策は多数ありますが、その中でも、長時間労働是正の為の取り組みとしていくつか記載します。

「荷待ち時間」の削減としての取り組み

①トラックドライバーの荷待ちや荷役時間の削減を図るため、輸送事業者と物流センター施設が荷物情報を共有し、バースの予約調整が可能なシステムの導入。
②荷役時の負担や、長時間労働の軽減を図る為、自動パレット化による手荷役から機械荷役への転換を促進する。

「効率化の向上」としての取り組み


③トラック1台稼動で約2台分の輸送を可能とする、ダブル連結トラック車両の導入支援を行う。「取引環境の適正化」の取り組み
④荷役等の運送以外の役務に対する対価を運賃とは別建てで収受できるように取引環境の適正化を行う。

トラック運送事業全体の長時間労働に歯止めをかけ、生産性の向上を目指していく中で、荷主企業としてもトラックドライバーの長時間労働につながる原因を探り、把握し、改善に向けた取り組みを行う必要があると思います。

今一度、荷主企業は運送事業者と生産性、人材の確保、取引環境の改善など考えてみるべきではないでしょうか。

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