運賃上昇を低く抑える方法とそのポイント

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新関 崇浩

船井総研ロジ株式会社 シニアコンサルタント

この所何かと話題に挙がる物流業界ではありますが、最近、特に話題になったニュースの一つとして、2017年6月14日に発表された、佐川急便社を傘下に持つSGホールディングスが東京証券取引所に上場申請を行ったという発表が挙げられるのではないかと思います。

上場申請が背景にあるのか定かではありませんが、業界最大手であるヤマト運輸に続き佐川急便社も宅配料金改定のプレス発表がありました。

宅配大手2社による料金改定は、国内宅配料金市場の大幅な上昇を示唆するものと考えられます。

現時点においては、BtoC分野の料金改定が主に行われているようですが、今後、BtoB分野の料金改定も行われていくと予想されます。

その点を踏まえると、遅かれ早かれ何れかのタイミングで契約宅配業者もしくは路線業者から運賃改訂の打診があるのは間違いないと思います。

その際に、物流コスト上昇を少しでも低く抑える方法の一つとして、他社と協調・協力する物流体制(共同配送や共同幹線・往復輸送など)が構築出来ないかを検討することをお勧めします。

今号では、上記を検討する上で大切なポイントをいくつかお伝えしようと思います。

1:商品密度

⇒商品の重量・容積がどの程度であるのかという点は、輸送手段を選択する場合に大切なポイントとなります。

類似性の高い商品同士であれば、配送インフラの適用条件(例:4t標準車輌ではなく4t超ロング車輌を使用するのかまたは増t車輌を使用するのか等)が同じである為、協力体制が構築しやすい関係にあります。

2:商品寿命

⇒賞味期限がある商品なのか製品サイクルの早い商品であるのか、または温度管理やその他特殊な管理を要する商品であるのかを把握することも大切なポイントです。

類似点が多く認められる商品同士であれば、商品保管をする際に求められる要件も似通ったものになる事が多い為、倉庫設備等のインフラで協調出来る可能性が高くなります。

また、商品密度と同様に配送インフラに求められる条件も似通ったものになる事が多い為、協力体制が構築しやすい関係にあります。

3:季節性

⇒年間を通じて消費される商品なのか特定の催事の時期に消費が突出して伸びる商品なのか、あるいは季節によって消費が伸びる商品なのかという点から物流の波動を把握することも重要なポイントです。

自社とは違った物流の波動がある企業と協力体制を構築する事で、配送インフラや倉庫設備等のインフラの波動を分散させる事が出来る為、協力体制を構築できる可能性が高くなります。

4:納品先とそのエリア

⇒納品先が密集しているのはどのエリアになるのかまたは納品先が散っているのはどのエリアになるのか、そして、納品先は卸のセンターや小売のセンター納品が多いのか、最終消費者への納品が多いのかという点を精査することも大切なポイントです。

納品先エリアや納品先場所に類似点が多く認められる場合は、今まで別々で利用していた配送インフラを共有させる事が出来る可能性がある為、協力体制を構築できる可能性が高くなります。

上記は、他社と協力体制を構築する上で、大切なポイントではありますが、入手しにくい情報も存在するのは確かです。

しかしながら、自社単独で運賃上昇の抑制策を打ち出すには、非常に厳しい環境下である事は間違いありませんので、これを機に、行動に移されてみてはいかがでしょうか。

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新関 崇浩

船井総研ロジ株式会社 シニアコンサルタント

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