保管コスト削減について
宅配料金の値上げに始まった運賃値上げは収束する様子を見せません。
現段階で宅配便・路線便ともこの1年程度で概ね10%〜20%程度の値上げとなっており、2018年にはもう一段階の値上げが想定されるのではないかと考えております。
物流費は大きく輸送費、保管費、荷役費に分けることができます。
それぞれ今までは荷主主体でコストダウンの方策が検討できる状況であったわけですが、この度の運賃値上げについては完全に物流会社に主導権を握られており、荷主としては交渉の結果として他社と同等もしくは値上げ幅が少なければ良しとする状況になってしまっています。
輸送については荷主が価格コントロール力を失いつつある状況の中で、荷主が主体的にコントロールできる要素については今まで以上に積極的に取り組む必要があります。
その一つが保管費と考えられます。
保管費削減については在庫削減が主たる取り組みになりますが、多くの企業様からお話をお伺いする中では不動在庫の問題が必ず出て参ります。
不動在庫を定期的に処分できる企業様は少ないのも事実で、売れないからといって、簡単に在庫削減を図ることは困難です。
そこで保管費削減を考える場合は、商品の動きに合わせて2つの策をとる必要があります。
(1)比較的回転する商品:調達をコントロールすることで在庫削減し、保管費を削減する
(2)不動在庫:保管単価の低い倉庫に移動させ、保管費を削減する
続いてそれぞれのポイントを整理します。
(1)比較的回転する商品
在庫削減のための発注量計算については多くの理論があり、自動計算できるパッケージソフトも多くあります。
それらを利用するのも手ですが、在庫削減に携わらせていただいた経験からは、エクセルによる計算でも一定の効果を出すことができると考えています。
ポイントは人が判断するのではなく決まったロジックで淡々と発注量とタイミングを決めることにあります。
人による深読みは一定の効果を上げることは間違いありませんが、数百数千のSKUについてすべて深読みすることは難しく、SKU毎の精度のばらつきを考慮すると、深読みできないが機械に計算させた方がトータルとしては効果が大きいことが多いです。
機械の計算では欠品も残念ながら発生します。
ただし欠品が発生した出荷状況を見てみると突発的に出荷が増えた場合の欠品が多くを占め、そのような情報は営業担当者より入手可能な場合が多くあります。
在庫削減のためには営業担当の正確な販売予測からとはよく言われますが、実際には難しいでしょう。
突発的なオーダー情報だけでも、販売サイドと連携を深めることで、在庫削減の効果は充分あると思います。
(2)不動在庫
不動在庫には極力コストをかけないことが重要です。
移動はすべてパレット単位とし、少量の出荷用の在庫以外はすべて単価の安い倉庫に逃がします。
出荷・配送についても通常商品のリードタイムと同じにするのではなく、別途長いリードタイムを設定し、荷役や移動に負担がかからないようにすることが必要です。サービスレベルは悪化しますが、不動品であることから営業担当の納得は得やすいでしょう。
BCPの観点や長距離輸送の制約から、今後は拠点数を増やす施策が必要になります。
拠点増に伴う保管費増を抑制するためにも保管費削減の施策を検討いただきたく思います。