ドライバー不足と荷主勧告

船井総研ロジ

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トラックドライバーの人手不足や、荷待ち時間等での長時間労働の問題がここのところよく取上げられています。

また一方では、企業の働き方改革や、長時間労働を是正しようとする動きなども報道でよく目にします。

これらを踏まえて、荷主企業が運送事業者やトラックドライバーに直接的に長時間労働に繋がるような、依頼、指示などをしていないか確認しましょう。

国土交通省は過去、荷主企業による輸送の安全阻害行為を防止するため、「荷主勧告制度」を導入し運用してきました。

□荷主勧告の対象となる行為□

・非合理な到着時間の設定

・慢性的な待ち時間の発生

・やむを得ない遅延に対するペナルティの設定

・積み込み前に荷量を増やすような急な依頼

ドライバーの過労運転や、過積載などの違反行為があり、上記のような荷主企業からのルール無視による依頼・指示の主体的な関与が明らかになった際は「貨物自動車運送事業法64条」に基づき荷主勧告が行われ、荷主企業の名前や事案の概要が公表されます。

荷主企業側からの改善はなかなか進んでおらず、トラックドライバーの労働環境の改善の為には、荷主企業にしっかりと自覚を持って取り組んでもらう必要があります。

上記の内容を含め、平成29年7月~トラックドライバーの長時間労働改善を図るため、荷主企業の都合により待機が発生した場合、待機場所・到着・出発や荷積み・荷卸しの時間等を業務記録に記載することを義務付けました。

今までは違反が見受けられる場合に「協力要請書」や「警告書」が発行されていましたが、今後は、即「荷主勧告」制度が発動するものと考えられます。

本来、ドライバーの運行管理、労務管理については、運送事業者が行うものですが運送事業者の努力だけでは労働時間の短縮が進まないこと、多重的な請負構造から適切な運行管理がなされてない等の問題があげられています。

また昨今のドライバー不足問題が業界環境を悪化させていることもあげられます。

このような実態を是正するには、荷主企業の改善に対する取り組み姿勢が求められます。

その改善にはトラックドライバーの労働時間の短縮をはじめとする、労働条件の改善が、運送事業者と荷主企業が一緒になって取り組むべきではないかと考えてられます。

各企業で取り組みの手法は様々ありますが、

たとえば、荷主企業内では ①規定の労働時間や、荷主勧告制度等のコンプライアンスに関する勉強会の実施 ②労働時間、特に待ち時間の実態の把握をするためのMTGの実施(いつ、どこで、どのくらい、頻度の把握) ③待ち時間の発生、長時間労働になる原因の把握、改善検討など 荷主企業側でも取り組める事項は多数あるかと思います。

荷主企業においてはドライバーの長時間労働に対する改善の必要性について理解を深めることが必要です。

運送事業者と一体となって、ドライバーの労働環境改善に向けた問題意識の共有し、検討の場を設け、労働環境改善に向けた取り組みを実施することが必要です。

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