物流環境変化と企業リスク~経営者に渡して物流リスクを伝えるコラム~

Pen Iconこの記事の執筆者

渡邉 庸介

船井総研ロジ株式会社 エグゼクティブコンサルタント

製造業、卸売業、小売業には自社物流戦略再構築支援プロジェクト、業務改善コンサルティングを推進。物流企業に対しては荷主企業のコストダウン要求にこたえるコスト体質強化を中心に活動している。特に中長期の成長戦略を支える物流体制構築に注力し、拠点配置の見直し・SCM構築などの中長期物流戦略立案から倉庫業務改善や契約内容の見直し・業務の見直しなどの実行まで従事してきた。​​

最近の書店には『物流危機(クライシス)』や『物流崩壊』などいろいろな言葉を使って、国内物流の需給バランス変化を伝える書籍が発売されています。

新聞や企業の商品価格改定(値上げ)の理由を見ても『物流』の話題が尽きることはありません。

しかし、国内物流業界の環境変化とそれが各社に与える影響を経営層に伝えられている企業はどの程度あるのでしょうか?

我々、物流コンサルタントは月間数十社の物流担当者と面談します。

その中で今後の国内物流のリスクを社内に伝えている担当者は90%以上です。

しかし、その話が危機感と共に伝わっている企業は50%程度と感じます。

物流業界の環境変化に対する荷主企業の状況

※表あり

「危機感まで伝わっている企業」はスピード感に違いがありますが、それぞれの速度で物流業界の環境変化とそれによる企業リスクへの対策を打ち始めています。

問題を抱えているのは『危機感が伝わっていない企業』と『正しく伝えていない企業』です。

しかし、その対策はそれぞれによって異なります。

先ず『危機感が伝わっていない企業』は物流担当者が経営層に対して、より詳しく実態を伝える必要があります。

数値が把握できることは定量的に詳しく伝えなければリスクの程度が伝わりません。

伝えるべき事象

・日本国内ドライバーは減少の一途をたどることが見えていること
・ドライバーが減少する中で、ドライバーの一人当たりの月間就業時間は減少していること
・長距離ドライバーは特に高齢化が著しいこと
・その対策が末端配送まで及ぶにはかなりの時間を要すること
・荷主は物流企業に選ばれる企業にならなければならないこと
・ひと昔前のようにボリュームさえあればコストを下げられる状況にないこと

私はここまで伝えることは物流担当者の最低限の役割であると考えます。

その対策として如何に舵を切るのか?を判断するのは経営層になります。既にバトンは渡されているのです。

次に『正しく伝えていない企業』の取組みは下記のとおりになります。

・まずは物流担当者が先を見た国内物流業界の環境変化を理解すること
・物流担当者から経営層に対して、物流に目を向けるべく繰り返し情報を発信すること

企業経営に影響がある国内物流業界の環境変化を、企業の担当者が伝えていないことがまず問題です。

経営層は全般に対して目を向けていますが、売上の数%でしかない物流の優先順位は低いと考えて間違いありません。

しかし、『商品を市場に供給する』という機能は経営活動の根幹です。

供給できなければ売り上げが立たず経営もままならなくなるのです。

企業経営の大きなリスクであることを物流担当者は伝えなければ、大きな打撃を受けて初めて動くことになります。

今回の話は、「今、国内で起きている物流業界を取り巻く変化は『事業継続』に関わることに発展する可能性がある」という内容です。

企業経営に与えるインパクトを実感し、危機感を伝えることは容易なことではありません。

実際に物流がストップし、商品が市場に供給されなかったことで売上げに大きな打撃を与えたという事態までに至っていないことがその理由として考えられます。

しかし、そうなってからでは手遅れなのです。

読者の皆様の中でも経営層にリスクを伝えることに苦慮されている企業は、経営層に伝える手段として、このメルマガを活用ください。

もしうまく伝わらないなど、現状が打破できない時は弊社にご相談ください。

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渡邉 庸介

船井総研ロジ株式会社 エグゼクティブコンサルタント

製造業、卸売業、小売業には自社物流戦略再構築支援プロジェクト、業務改善コンサルティングを推進。物流企業に対しては荷主企業のコストダウン要求にこたえるコスト体質強化を中心に活動している。特に中長期の成長戦略を支える物流体制構築に注力し、拠点配置の見直し・SCM構築などの中長期物流戦略立案から倉庫業務改善や契約内容の見直し・業務の見直しなどの実行まで従事してきた。​​

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