物流センターにおける作業生産性の管理と活用

船井総研ロジ

Pen Iconこの記事の執筆者

物流コンサルの船井総研ロジ

   
国内最大級の物流コンサルティングファーム。物流・ロジスティクス領域において、戦略・戦術の策定から実行までを一貫してサポートする日本最大級の総合物流コンサルティング企業です。

≫ 物流コンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

働き方改革と併せてよく耳にされる生産性向上

日本経済というマクロ的な見方ではなくとも、一つの物流センターというミクロ的な観点からも「生産性」は意識すべきキーワードです。

皆様の物流現場では、生産性を管理されていますか?
また、どのような単位で管理されていますか?

今回は物流センターにおける作業生産性の管理と活用について解説します。

物流センターにおける作業生産性

物流における作業生産性とは「一定の時間内(1時間)に完遂できる作業量」を指します。

「入荷・出荷」という大きな枠組みでの生産性で管理されることもあれば、「入荷-荷受/検品/格納、出荷-ピッキング/仕分け/検品/梱包/その他流通加工、事務-帳票発行/付け合せ/計上作業」といった、それぞれの作業単位で管理されることもあります。

当然、後者のような作業単位での生産性管理を推奨します。

さて、ここで重要となるのが単位です。

ケース単位でピッキングを行い、ピース単位で仕分けを行う場合、双方共に「ピース」での生産性を管理していても意味がありません。

1個入りのケースを10箱ピックする作業と、10個入りのケースを1箱ピックする作業では、10倍の手間がかかっているのに、ピース単位での生産性が同じこととなります。

おかしいですよね?

作業とはコストです。

このような実作業に準じて設定する指標をコスト・ドライバーといいます。

上記の例でのコスト・ドライバーは、ピッキングが「ケース」、仕分けが「ピース」となります。

業務委託契約をされる場合、本来はこのコスト・ドライバー単位で契約を行うべきだと言えるでしょう。

コスト・ドライバーと異なる単位での契約の場合、受託企業としても、生産性が一定とならないため、作業工数に見合った請求ができず、荷主企業への値上げを要請せざるを得ない状況となりかねません。

荷主企業の皆様は、自社の商品がどのような形態で庫内作業が進んでいるか一度ご確認いただき、適切な請求単位となっているか検証されることをおすすめします。

作業生産性の抽出手法

作業生産性を管理する上で最も重要となるのが、生産性算出のための作業工数の計測です。

今回はピッキングを例にします。

ピッキングリストに開始時間と完了時間を作業者に記入してもらい、業務終了後に集計する、というのはいかがでしょうか。

結論として、この集計方法は時間がかかりすぎることも含め、正しくありません。

確かに上記の方法であれば純粋なピッキング作業の生産性が抽出可能です。

しかし、ピッキング作業者が常に「ピッキング作業」を行っている可能性は非常に低いです。

ピッキング完了分の次工程への搬送、補充、間口欠品(引き当たったロケーションにあるべき商品が無い状態)の商品の捜索、手待ち時間の清掃なども行っているかもしれません。

これらも同じ作業者が行っているのであれば、すべて含めてピッキング作業とし、所要工数を計測する必要があります。

このような純粋な作業以外に費やされる時間をアイドルタイムといい、すべての業務に対してアイドルタイムがあると認識してください。

もっとも、アイドルタイムを如何に短縮するかは常に検討すべき課題です。

では正しい作業工数をどのように計測すべきでしょうか。

ピッキング担当者に出勤から退勤まで一貫してピッキングをしてもらい、その他の作業担当者には一切ピッキングをさせない、とすればいかがでしょうか。

予めピッキング担当者を選出しておくことで、勤務時間の和=ピッキング工数とすることができます。

担当者の退勤時間前にピッキングが終了してしまい、別作業へ再配置する場合も、ピッキング終了時間を記録しておくことで対応できます。

このようにして計測したピッキング工数で、当日のピッキング物量を除すればその日の生産性が抽出されます。是非毎日記録してください。

生産性の活用方法

最後に生産性の活用方法についてです。

コスト・ドライバーや所要工数の計測方法が正しければ、生産性はある程度一定の数値に収束されます。

収束されたそれぞれの生産性を把握しておく(作業関係者全員が生産性を認識できる環境にしておく)ことで、物量確定次第、作業完了予定時間を算出できます。

現場責任者は作業完了時間が事前にわかることで、余剰工数の使い方の検討、現場スタッフへの残業・早退の依頼などを先んじて行うことができます。

また、理論上の作業進度も計算可能であるため、進捗確認にも活用できます。

物流センターの責任者は、如何に人件費を抑制できるかがミッションになります。

可能な限りいろいろな生産性を把握しておくことで、過不足無く人員配置ができるようになります。

必要以上の人員が配置されている現場は、一人ひとりが余裕を感じてしまい、緊張感が無くなり、生産性が下がります。

適正な人員配置、または適正人員から定期的に1人ずつ減らしていくような運営を行うことで、常に緊張感があり、気持ちの良い現場となることでしょう。

船井総研ロジ

Pen Iconこの記事の執筆者

物流コンサルの船井総研ロジ

   
国内最大級の物流コンサルティングファーム。物流・ロジスティクス領域において、戦略・戦術の策定から実行までを一貫してサポートする日本最大級の総合物流コンサルティング企業です。

≫ 物流コンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

その他の記事を読むArrow Icon

人気の記事

ページの先頭へ