中小運送事業者との取引関係の構築手法
皆様、ここ最近既存の運送事業者から「従来の対応はできません」と言われたことはないでしょうか?
現在、物流業界では荷主企業が運送事業者に求めるサービス内容と運送事業者が提供するサービス内容のギャップが生じています。
筆者は今後、このギャップが更に広がっていき、荷主企業は従来の物流サービス水準を維持できないのではないかと危惧しています。
荷主企業は運送事業者との付き合い方を見直し、物流サービス水準を維持していく必要があります。
今回は荷主企業が中小運送事業者と上手に付き合っていく方法を紹介したいと思っています。
荷主企業は荷物を貸切り便や路線便に100%依存するだけでは、最適な輸配送計画を立案することができない場合があります。
貸切り便や路線便にはそれぞれの特性があり、得意の領域が異なることを理解して使い分けをしなければなりません。
まず貸切り便は、大口の貨物であればコストメリットを享受することができます。
逆に、小口貨物や中小ロット貨物であればコスト高を引き起こす可能性があります。
次に路線便の特徴は①小口貨物でも物量に応じた料金設定が可能であること②全国に配送網を巡らせており、全地域に配達が可能であること、の2点です。
しかし、路線事業者はパッケージ化されたサービスを提供しており、路線事業者が対応できないサービス領域があります。
たとえば①中ロットの荷物(1トン以上の荷物)②荷物の選別(異形物・重量物・容積物)③付帯業務(検品・仕分け・棚上げ)などに対して路線会社は柔軟な対応が困難です。
そのため、路線事業者は規格から外れるサービスについては、「それはできません」「これはお客様のほうでやってもらわないとできません」と今後対応することができなくなる可能性があります。
このように貸切り便や路線便で対応できる貨物は今後限定されることが懸念されます。
そこで筆者は路線便や貸切り便で対応できない貨物を運ぶ方法として中小運送事業者の輸配送サービスの領域を活用することを紹介します。
今後、荷主企業は中ロット貨物を運べる新しいチャンネルを持つべきです。
さらに、共同配送網をもっと活用すべきだと思います。
では、共同配送の活用をどのように進めていくのかを考えてみたいと思います。
まずは共同配送便においてもメリットとデメリットを理解することで共同配送のサービスを上手く活用することができます。
共同配送の状況は、中小運送事業者が集まってエリアを限定し実施している場合が多くなりますが、中ロット貨物が得意で配送品質や柔軟な対応をおこなうことは可能です。
しかし荷主企業が実配送を行っている運送事業者と出会うことは容易ではありません。
荷主企業は「いつ・どこで・どのような荷物を移動させたいか?」を考える一方、運送事業者は「いつ・どこで・どのような車両に余力があるか?」と考えます。
この考え方のギャップを埋めるため荷主企業と運送事業者との間においてオープンな情報発信とマッチングをすることが必要となります。
このような情報をマッチングするために、荷主企業は輸配送業務を一括する元請運送会社や物流プロバイダーに相談すること、またはマッチング機能を持つ車両マッチングシステムを活用することを検討してみてはどうでしょうか。
共同配送便を活用するためにまずは取引条件を明確にするための交渉をして取引を開始します。今、荷主企業が必要なことは、自社の配送インフラを支える中小運送事業者を囲い込むことだと考えております。
そのためには荷主企業は、運送事業者の原価把握と時流を理解して継続的に良好な関係を構築するべきだと考えております。
ただ、荷主企業にとっては、中小運送事業者が提供しているオーダーメイド型のサービスは、運送サービスの仕組みや内容そして料金体系がわかりにくい部分もあります。
荷主企業は、中小運送事業者の共同配送サービス内容や料金体系の把握に時間をかけることもひとつですが、物流専門家あるいは元請け配送事業者に相談してみられてはいかがでしょうか。
船井総研ロジには、輸配送の最適化計画を立案サービスやその計画に基づいた実効可能な輸配送ネットワーク構築のコーディネイトをすることができます。
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