物流コンサルタントの視点 最新更新日:2020.03.09
変化する物流BCPと企業方針の重要性
『物流BCP』というと読者の皆様は何を連想されるでしょうか?
少し前までは『地震』をその中心に置いて検討されてきました。
地震発生を想定した物流の継続体制を想定するのです。
しかし、昨今の日本における物流継続を阻害する要因は地震だけではなくなっています。
環境変化によって高まっている物流BCPの見直しの中で、今回は『変化する物流BCPと企業方針の重要性』として物流BCPの検討ステップを検討します。
物流を阻害する要因を地震以外で検討すると先ず出てくるのが豪雨・台風・降雪といった風水害です。
昨今の国内を見ると毎年何らかの被害が発生しています。
この記事を書いている今もニュースで世界の異常気象(寒波・流氷)が流れています。
このような想定外の気象異常は温暖化が進む中で継続して発生することが予測されます。
つまり『想定外』である自然災害を『想定』して物流の継続を検討するという矛盾になるのです。
実はこの矛盾を検討することに対しての心構えを決めておくことが、企業におけるBCP対策を決定するために重要なことです。
いつ発生するか?何が発生するか?どのような被害が発生するか?がわからない状況で、事前の対策を決定する場合に、基本的なBCPに対しての『企業方針』を確認しておくことがスタート時点で最も大事な取り組みなのです。
BCP策定コンサルティングの視点からみると、『BCPに対する企業方針』が根本でブレていると、どのような検討を進めても必ず見直すことになります。
なぜなら、物流BCP対策はコストUPだからです。心構えが無いところにコストが発生するとなると途端に考えがまとまらなくなる事態に陥ります。
その場合、企業判断は下記の2つに区分できます。
『物流BCPをコスト』とみる企業は停止。
『物流BCPは販売継続ための必要な費用』とみる企業は前進。
しかし、前述にもありましたように物流BCPはもはや地震だけでなく、台風、豪雨、降雪にまで広がっています。
その発生頻度は明らかに高まっているとみることができます。
「いつ発生するかわからないことにコストはかけることができない」とBCPの取組みを停止してきた企業も頻度が高まると、そのようなことも考えられなくなっています。
継続を止める事態が頻繁に発生すると販売に与える影響が大きく、対策を講じないわけにはいきません。
「想定外」という言葉が使えなくなり、「想定外」とすることは管理の甘さを指摘されることになります。
物流BCPを検討される企業は是非初めに「貴社のBCP方針」を確認するステップを踏んでください。
『有事の際は動かない』というのも立派な方針なのです。それだけで物流BCP策定は動き出します。
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