変化する物流BCPと企業方針の重要性
『物流BCP』というと、みなさまは何を連想されるでしょうか?少し前までは『地震』をその中心に置いて検討されてきました。地震発生を想定した物流の継続体制を想定するのです。
しかし、昨今の日本における物流継続を阻害する要因は地震だけではなくなっています。
環境変化によって高まっている物流BCPの見直しの中で、今回は「変化する物流BCPと企業方針の重要性」と題して物流BCP策定において重要なステップについて解説します。
物流BCP策定で検討すべき範囲
物流を阻害する要因を地震以外で検討すると、まず出てくるのが豪雨・台風・降雪といった風水害です。昨今の国内を見ると毎年何らかの被害が発生しています。
このような想定外の異常気象は温暖化が進む中で継続して発生することが予測されます。つまり『想定外』である自然災害を『想定』して物流の継続を検討するという矛盾になるのです。
実は、この矛盾を検討することに対しての心構えを決めておくことが、企業におけるBCP対策を決定するために重要なことです。
物流BCPと企業方針
いつ発生するか?何が発生するか?どのような被害が発生するか?がわからない状況で、事前の対策を決定する場合に、基本的なBCPに対しての『企業方針』を確認しておくことがスタート時点で最も大事な取り組みです。
物流BCP策定の視点からみると、『物流BCPに対する企業方針』が根本でブレていると、どのような検討を進めても、かならず見直しが発生します。
なぜなら、物流BCP対策はコストアップだからです。心構えが無いところにコストが発生するとなると途端に考えがまとまらなくなる事態に陥ります。
物流BCPを「コスト」とみる企業は停止する
企業判断は下記の2つに区分できます。
・物流BCPを「コスト」とみる企業は停止
・物流BCPは「販売継続ための必要な投資」とみる企業は前進
しかし、前述したように、物流BCPは地震だけでなく、台風・豪雨・降雪、そして、2020年以降に世界を混乱させたパンデミックにまで広がっています。その発生頻度は明らかに高まっているとみることができます。
「いつ発生するかわからないことにコストはかけることができない」とBCPの取組みを停止してきた企業も、その頻度が高まると上記のようなことは考えられなくなってきているのではないでしょうか?
想定外は「管理の甘さ」である
物流を止める事態が頻繁に発生すると販売に与える影響は大きく、対策を講じないわけにはいきません。これまで使っていた「想定外」という言葉は使えなくなり、「想定外」としてしまうことは管理の甘さであると指摘されることにもなりかねません。
物流BCPを検討される企業は、まずは「物流BCPの企業方針を確認する」ステップを踏んでください。『有事の際は(物流は)動かさない』というのも立派な方針です。それだけでも物流BCP策定が動き出します。