物流コンサルタントの視点 2019.02.07

いつまで“曖昧契約”続けますか!?

物流業界ではイレギュラーが頻繁に発生します。

例えば、

■入荷予定のない貨物が入荷される
■当日の出荷が直前にキャンセルされる
■受注締め時間を過ぎて追加オーダーを受ける
■緊急出荷が毎日何件も発生する

などが挙げられます。

イレギュラーを未然に防ぐことは大事ですが、商習慣上また相手先があっての事なのでなかなか発生件数をゼロに抑えることは困難です。

これまでは荷主企業の「何とかお願いしますよ」に対し「これからも付き合いが続くことも考えて「今回は特別に」と応えてきた物流会社さんも多数あると思います。

しかし、物流会社と荷主企業の立場が逆転したこと、そしてコンプライアンスを厳しく管理するようになってきたことから、このようなイレギュラーな事象に安易に対応してもらうことが難しくなってきています。

「以前は対応してくれた」「○○さんは対応してくれた」ということも今や期待することが難しい環境となってきました。

荷主企業が散々甘えてきた“曖昧契約”が立ち行かなくなっているのが現状です。物流は言うまでもなく無形のサービスです。

有形物であれば購入する商品が実際にどういうものか知ったうえで、購入前に手に取って、大きさ・重さ・質感・感触を確かめることも可能です。

しかし無形である物流はどの程度のサービスが提供されるかを事前に試すことが難しいため、詳しい内容は分からないまま曖昧な状態で契約してしまうことが大半です。

荷主企業は「物流のプロだからこれぐらいやってくれて当然」「少しくらいの無理なら、物流会社にお願いしても対応してくれる」と思っていたものが、物流会社からは「そんなことは聞いていない」「こんなつもりではなかった」「想定していなかった」と言われることも今や珍しくありません。

「対応するのであれば別料金を請求します」と言われる可能性も十分にあり、場合によっては別料金ですら対応してもらえないこともあるということを理解しておかなければなりません。

こういった荷主企業と物流会社との考え方の相違は物流品質や物流サービスについての取り決め、すなわち物流業務の仕様があらかじめ決められていなかったことが原因と言えます。

このような事態に陥らないためには、業務の定義を明確化させ、物流のサービスレベルを数値化し、責任の所在を明確にすることが第一です。

物流のサービスレベルを数値化し、各社の責任範囲を明確に記したものがSLAと呼ばれる合意書です。

物流業務を円滑に進めるための大切な契約として各社はSLAの導入の検討を進めています。

これまでは運用の中で両社もしくは担当者同士のその場の判断で何とかやりくりしてきていたものが限界を迎えているということを荷主企業は認識し、改善に向けて積極的に取り組むことが求められています。

「そのようなことは他社の事例であって、自社は物流会社とうまく付き合っているから関係ない」と高を括っている荷主企業は物流環境が変化した昨今においては大きなリスクを孕んでいます。

今すぐに物流会社との契約を見直さなければ、明日の業務が停止してしまうリスクと隣り合わせであることを認識して業務にあたっていただく必要性が高まっていることを提言させていただきます。

Pen Iconこの記事の執筆者

普勝 知宏

船井総研ロジ株式会社 チーフコンサルタント

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