開催間近!大阪・関西万博による物流への影響と対策とは?

Pen Iconこの記事の執筆者

田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

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物流業界では、2024年問題対応、さらには“2026年問題”対応など、法改正に伴う物流効率化への取り組みに対する意識が高まっている状況です。

一方で、物流業界に大きな影響を与える直近の大きなイベントとして、2025年4月13日から10月13日までの184日間の期間で開催を予定している、「大阪・関西万博」があります。

今回は、大阪・関西万博による物流への影響と対策についてお伝えします。

東京オリンピック・パラリンピックとの大きな違いは?

類似した直近のイベントでは、2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックの開催が記憶に新しいのではないでしょうか。しかし、同大会は新型コロナウィルスの影響により、無観客開催を余儀なくされました。そのため、世界中の人々が東京都内へ集中し、物流をはじめとした混乱状態に陥ることはありませんでした。

大阪・関西万博開催時点においては、感染症等による入場制限などはなく、日本国内および世界から多くの人が集まることになります(図1)

開催間近!大阪・関西万博による物流への影響と対策とは?

また、オリンピック・パラリンピックの開催期間が1か月程度であったことと比較して、大阪・関西万博の開催期間は6か月と長期間になります。

対策のポイントと具体的な施策

当然開催期間中の入場者数の繁閑の差はあるとはいえ、近畿圏を発着地とする企業においては、長期間において事前の対策が必要となります。取り組むべきことは主に以下の3点です。

  • 1.影響を受ける対象拠点の確認
  • 2.調達先、得意先との納入に関する各種調整
  • 3.在庫スペースの確保

1.影響を受ける対象拠点の確認

自社工場、調達先、得意先などサプライチェーン全般における関係先の立地を把握する必要があります。大阪・関西万博開催場所に近いほど交通規制がかけられることになるでしょう。

まずは近畿圏を中心に関係先企業をプロットし、輸配送面で影響が想定される関係先をピックアップすることが必要です。

開催間近!大阪・関西万博による物流への影響と対策とは?

2.調達先、得意先との納入に関する各種調整

1でピックアップした企業に対して、大阪・関西万博開催期間中における影響度合いを想定します。

例えばこれまで高頻度で納品していた得意先に対しては、週1にまとめて納品するといった調整が必要になります。現状の物流面におけるサービスレベルを把握したうえで、代替案の提示が必要です。これを実現することで、交通量の抑制につながります。

3.在庫スペースの確保

従来通りの納品が不可、かつ、納品の頻度が抑えられるとなると、一定期間自社で在庫を確保しておかなければなりません。そのためには、どの程度の在庫スペースが確保できるのか、別で外部倉庫を借りなければならないのか、といった確認や検討が必要となります。

さいごに

現状を把握し、納品に影響がある企業をピックアップし対策を講じるといった流れは、「物流の効率化」への取り組みにもつながることになります。

今回の大規模イベント開催をきっかけに、これまでの物流サービス(リードタイム、納品条件、時間指定など)について改めて見直してみてはいかがでしょうか。

大阪・関西万博開催まで残り2か月程度ですが、物流への影響について、委託先企業や得意先との調整をぜひ進めてください。

<参考資料>
日本国際博覧会来場者輸送対策協議会
大阪・関西万博 来場者輸送具体方針(アクションプラン)第5版(最終版)
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/uploads/expo2025_raijyoushayusougutaihousin_05_honpen.pdf

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田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

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