現場が変わる! 物流競争力を高める KPI 導入の極意

佐々木優芽

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佐々木 優芽

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクス支援部
東京コンサルティンググループ アソシエイト

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昨今の物流業界は、労働力不足や物流コスト増加といった課題に加え、サプライチェーンの複雑化に対応していく必要があります。このような環境下で、感覚や経験に頼った従来の物流管理では、企業の競争力は維持できません。そこで、企業の物流を戦略的に強化するための指標となるのが、KPI(重要業績評価指標)です。

物流戦略との関連性

KPI は、企業の物流戦略を具体的に実行するための指針です。物流戦略が「コスト削減による利益率向上」や「サービス品質向上による顧客満足度アップ」といった目標だとすれば、KPI はそれを達成するために、日々の業務で追うべき具体的な指標となります。

例えば、コスト削減という戦略に対しては、「輸配送コスト比率」「在庫回転率」といった KPI を設定します。また、サービス品質向上という戦略に対しては、「誤出荷率」「出荷リードタイム」といった KPI を設定します。これにより、抽象的な戦略が具体的な行動へとつながり、目標達成に向けた進捗を正確に把握することができます。

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KPI 導入時における基本視点と KPI 例

輸配送:輸配送効率とサービスレベルの両立

「どれだけ少ない台数・短い走行距離で、多くの荷物を運べたか」車両やドライバーの稼働率、積載スペースの有効活用度を高め、1 輸配送当たりのコストを最小化します。

(例)積載率、実車率、車両稼働率

「顧客の要望通りに、正確かつ迅速に届けられたか」輸配送リードタイムの遵守、破損・誤配の防止を通じて、顧客ロイヤルティを高めます。

(例)リードタイム遵守率、誤配送件数、配送時破損率

保管:スペース効率と在庫の健全性

「どれだけ少ない床面積・容積で、必要な在庫を収められたか」保管場所の利用率を最大化し、無駄なスペースを削減します。 

(例)坪効率、容積効率、保管ロケーション占有率

「帳簿上の在庫と実際の在庫のズレをなくし、必要な在庫を維持できたか」在庫の正確性、陳腐化・滞留の防止、欠品の回避が重要です。 

(例)棚卸差異率、在庫回転率、欠品率

作業:生産性と品質の最大化

「どれだけ少ない人数・時間で、多くの処理量(ケース、行、オーダー)をこなせたか」作業時間の短縮と投入人数の削減により、人時生産性を向上させます。

(例)人時生産性(1 人 1 時間あたりの処理量)、オーダー処理時間

「どれだけミスなく、正確に処理を完了できたか」誤出荷、誤梱包、破損、伝票ミス等を減らし、後工程や顧客への手戻りを防ぎます。

(例)誤出荷率、ピッキングミス率、梱包破損率

KPI の導入で戦略的な物流へ

KPI は、物流業務をコストセンターからプロフィットセンターへと変革させるための有効なツールです。まずは、現状を可視化できる身近な指標から導入し、自社の物流を「戦略的」な運営へと進化させましょう。

そして、KPI は導入して終わりではなく、KPI が示す問題に対して現場が自律的かつ継続的に改善を回し続ける仕組みを構築することにあります。一時的な改善で終わらせず、改善による成果を現場に定着させなければ、コストと時間を浪費することになり兼ねません。

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多くの荷主企業が、物流現場の課題に気づきながらも、リソース不足や「何から手をつけるべきか」という迷走により、改善活動が停滞しています。高額な設備投資が難しいことに加え、専門知識の不足や「これまでこうやってきたから」という意識が、変化を阻む高い壁となっているのが実態です。

佐々木優芽

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