拠点配置実態把握のための定量分析~作業工数編~
今回は作業量分析の基本である倉庫内の作業工数試算の方法とポイントについて解説いたします。
拠点配置検証における拠点仮説の検討段階では、各拠点の作業工数を概算でも把握しておく必要があります。なぜなら各拠点で必要な作業員が確保可能な周辺環境であるか、どの程度作業コストが掛かるか(人件費相場、募集の難易度、送迎の必要性など)を把握できていなければ正確な仮説を立てる事は困難です。
本メルマガを通して、作業工数試算のイメージを掴んでいただければと思います。
作業工数試算の基本ステップ
作業工数試算は、下記の3ステップを基本として行います。
- ①各工程(入荷や仕分け)の作業内容明確化
- ②作業内容毎の生産性測定
- ③作業内容毎の工数算出
①各工程(入荷や仕分け)の作業内容明確化
作業内容明確化のためには、作業場面の動作を切り分け、細かく見える化することが重要です。そのためには業務フローや情報フロー、作業手順書、帳票などを使用し、作業場面ごとの作業者の動作をモレなくダブりなく切り分ける必要があります。その後、それらをエクセルシート上に縦に並べることで、動作が見える化し、作業工数試算表の大枠が作成されます。
②作業内容毎の生産性測定
生産性の測定では①の作業内容を各作業員がどの程度のスピードで行っているかを測定します。そのためには作業員が作業を行っている動画をサンプルとして録画する必要があります。
ポイントとしては、測定対象者を無作為に選んではいけないということです。作業員のレベルを、熟練レベル、普通レベル、初心者レベルのようにパターン別に分けてサンプリングする必要があります。
それらの作業員が1単位の作業にかかった時間をその作業の生産性として整理します。算出した生産性は①で作成したシートに作業内容別に追記していきます。
③作業内容毎の工数算出
工数算出では作業内容別の生産性に、物量を掛け合わせることで各作業内容の工数を算出します。ここまでの作業を倉庫内の人員が配置されている全作業場で行い、足し合わせると拠点全体の作業工数を把握できます。これらの数値を応用することで現状の物量と現状の全作業場面を前提とした場合の必要工数が把握できます。
拠点配置での工数試算の場合は、設定する物量値も重要なポイントとなります。平均や繁閑の考え方等も加味した上で、設定しなければなりません。
ただ現状把握前の与件設定で、諸条件を揃えるなどの工夫を行う事で真に近い数値を試算する事は可能です。所持しているデータ・情報からどのように必要な結果を算出できるかという考え方もデータ分析には重要となります。
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さいごに
以上のように、拠点配置検証における作業工数試算の基本ステップを理解し実践すれば、倉庫の必要人員数や荷役コストを把握できることはもちろん、マテハン機器導入における効果試算にも転用でき、仮説立案の可能性が広がります。また、実際に倉庫に赴く機会も生まれ、新たな自社の物流における特徴や課題に気づくといったことも期待できます。現時点の想像を超える結果を生み出すきっかけになるかもしれません。
船井総研ロジでは、「物流拠点配置」にテーマを当てた、メルマガシリーズを定期配信しています。物流拠点配置に関する検討のポイントを様々な角度でお伝えいたします。
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