新説:2022年の物流改革

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渡邉 庸介

船井総研ロジ株式会社 エグゼクティブコンサルタント

製造業、卸売業、小売業には自社物流戦略再構築支援プロジェクト、業務改善コンサルティングを推進。物流企業に対しては荷主企業のコストダウン要求にこたえるコスト体質強化を中心に活動している。特に中長期の成長戦略を支える物流体制構築に注力し、拠点配置の見直し・SCM構築などの中長期物流戦略立案から倉庫業務改善や契約内容の見直し・業務の見直しなどの実行まで従事してきた。​​

物流改革がうまく進まない理由は?

物流改革の実行に悩まれている企業が多いのではないでしょうか?

当社のコンサルティング業務の現場でも「物流戦略の再構築と実行」は最も多い相談テーマの1つです。そして、その実行に苦労することが多いのも事実です。その一方で、周りを見ると物流改革をどんどん前に進めている企業もあります。

さて、実行に苦労する企業と前にどんどん進められる企業では何が異なるのでしょうか?本コラムでは、その差を紐解いてみたいと思います。

物流・ロジスティクスの位置づけ

当社は物流コンサルティング会社として、第三者の視点でお客様とお話しさせていただいております。その中で、改革が進む会社は「ロジスティクスの位置づけ」が変化しているとみることができます。

約20年前から3PL企業による営業活動が活発化し、日本国内の物流アウトソーシングが大きく進みました。当時は「コア」「ノンコア」という言葉が使われていました。物流・ロジスティクスはノンコアであるため、アウトソーシングを行い、経営資源はコア業務に集中させるという流れが一般的でした。

当時の環境下では、その方向性に間違いはなかったと思います。物流企業も今のような採用難ではなく、ドライバーを比較的容易に雇用できる環境下であったので、適度に競争があり、物流アウトソーシングによるコスト抑制効果を十分に享受できる施策でした。

物流・ロジスティクスの環境変化が企業経営に与えるリスク

しかし、これからの物流・ロジスティクス環境は、これまでの20年間と大きく異なります。ドライバー不足、2024年問題、労働人口の減少、流通チャネルの変化など、今までとは比べ物にならない環境変化が起こっています。

その変化は、今後一層、物流への影響度を高めていくことでしょう。つまり、物流・ロジスティクスの在り方によっては、企業経営に与えるリスクが高くなっているということだといえます。


物流業界の2024年問題とは?|荷主企業が取り組むべき『物流戦略再構築』

物流改革を推進できる企業になるには

先ほどお伝えしたとおり、物流改革を活発に進めている企業は、上記の変化を「リスク」または「チャンス」と捉え、早めの対策に動けています。

特に、この変化を「チャンス」と考えている企業は、物流・ロジスティクスを「コスト」ではなく「販売拡大に必要な機能」へと転換しています。

物流・ロジスティクスを強化する事が販売の大きな推進力に寄与すると考える企業が増えていることが分かります。物流・ロジスティクスは、サービスの一環であり、「抑制」だけではなく「拡大」することもあるという考え方です。

物流・ロジスティクスの位置づけを変えることで、改革の推進力は大きく変わります。物流・ロジスティクス改革が進んでいる、あるいは、物流・ロジスティクスを強みにしている企業は、この思考を持っています。この思考を持っていない企業との格差は、一層広がっていくと考えられます。

物流改革の手順

当然、サービスにかかるコストは度外視できません。そのために、物流改革を進めるうえでは、下記の取り組みが必要です。

  • ● サービスを棚卸する
  • ● やめるサービスを決める
  • ● 強化するサービスを決定する
  • ● サービスの提供に必要なコストを試算する
  • ● サービス提供に必要なパートナーを選定する
  • ● サービスの実行度と成果を評価する
  • ● サービス見直しの必要性を検討する

2022年を抜本的な物流改革の年へ

「改革に必要なコスト」という言葉は、大きな投資により、コスト高のイメージを持たれるかもしれません。しかし、改革を進めることがリスクの回避、ひいては物量拡大につながります。全体でみると、生産性の向上にもつながり、コスト競争力がある物流・ロジスティクス体制が構築されるという好循環が生まれます。

商品開発やマーケティング施策と比較しても、物流・ロジスティクスの強化は競合他社との差別化として、非常にわかりやすい取り組みです。2022年を物流・ロジスティクスの抜本的な改革の年として取り組まれてはいかがでしょうか?

選ばれる荷主になるには

2024年になった途端に自社の物流がストップしてしまわないためにも、現時点から物流環境を整えなければなりません。「物流企業から選ばれる荷主企業」に変貌するチャンスと捉え、物流戦略を再構築しましょう。

当社では、物流業界にかかわるみなさまに、日々役立つ情報をお届けしています。下記資料は無料でダウンロードができます。ぜひご活用ください。

物流業界の2024年問題|荷主企業が取り組むべき『物流戦略再構築』|物流コンサルの船井総研ロジ

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資料DL/荷主企業が取り組むべき『物流戦略再構築』

概要
2024年4月施行のドライバーの総残業規制は、物流企業だけでなく、荷主企業への影響も甚大です。早い企業は既に物流戦略の立て直しを進めています。これからの物流戦略について解説します。
詳細
https://logiiiii.f-logi.com/documents/know-how/butsuryusenryaku2024/
新説:2022年の物流改革

サービス/物流コンサルティング(物流改善/最適化)

概要
蓄積されたノウハウ、運賃相場、モデル事例などを駆使した物流戦略の策定、将来におけるあらゆるリスク回避、安定的な物流オペレーションのご提案
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https://www.f-logi.com/ninushi/service/

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渡邉 庸介

船井総研ロジ株式会社 エグゼクティブコンサルタント

製造業、卸売業、小売業には自社物流戦略再構築支援プロジェクト、業務改善コンサルティングを推進。物流企業に対しては荷主企業のコストダウン要求にこたえるコスト体質強化を中心に活動している。特に中長期の成長戦略を支える物流体制構築に注力し、拠点配置の見直し・SCM構築などの中長期物流戦略立案から倉庫業務改善や契約内容の見直し・業務の見直しなどの実行まで従事してきた。​​

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