最新動向から考える!2025年の荷主物流責任者の活動ポイント
行政が指し示す今後の企業物流の活動方針のひとつとして、「CLO:物流統括管理者(Chief Logistics Officer)」の設置が注目されています。貨物量とトラック輸送キャパシティの需給ギャップをみると、日本国内は確実に物流改革を進めなければならない状況です。
大手企業の物流効率化を確実に推進するための責任者を据えることで、その活動をより強力な継続性のあるものにすることが設置の目的と推察されます。ここで対象となる大手企業とは、年間90,000トンを輸送する特定荷主といわれる企業を指しており、大手企業が先行して物流効率化を進めることで、国内物流に大きな変化が創り出されることが想像されます。
国土交通省、経済産業省、農林水産省、公正取引委員会が国内物流の抜本改革を呼びかけ、規制も作り、予算を確保して展開する推進力は素晴らしく、2024年問題を前にした様子見の時期の様相とは大きく変わったのです。
- 【関連する荷主企業向け勉強会】
- ≫「ロジスティクス・リーダーシップ・サロン」の詳細・お試し参加の申込はこちら
「選ばれる荷主」だけが生き残る時代へ
それではこの大きな変化は、今後どのような流れを生むのでしょうか?
特定荷主といわれる国内物量の上位を占める企業は、まず、物流効率化のために発着時のドライバー負荷を軽減する取り組みに着手します。当然、物流企業は仕事がやりやすい(効率が良い)ところに緩やかですが、偏り始めることになります。既存取引先との関係があるため、急激に偏ることはないと考えられます。
特定荷主以外の企業が、今までと同じ取引条件で継続する場合、条件を緩和し、効率的に業務できる特定荷主に比べると、車両が手配しづらい事態になるであろうことは容易に想像がつきます。
つまり、国内物流のひとつの土俵の中でトラックの取り合いをするのであれば、特定荷主なのか否かに関係なく、トラック事業者が取引したいと選択される取引条件に緩和していくことが必須になるのです。
そのためには、自社がトラック事業者から選択されないリスクを回避するべく、いち早く、対策をとっていかなければなりません。一部の企業では2026年からは行政に対しての活動報告が始まるため、すでに実行段階に入っています。
皆様の会社でも具体策を実行に移さなければ、すぐにトラックの獲得合戦に巻き込まれていくのです。
≫ 独自資料「荷主企業が取り組むべき特定荷主の義務とCLOの役割」をダウンロードする(無料)
- 【関連する荷主企業向け勉強会】
- ≫「ロジスティクス・リーダーシップ・サロン」の詳細・お試し参加の申込はこちら
2025年も半分が終わり、2026年に向けた活動も視野に入れた活動が必要となる時期です。前述したとおり、2026年には特定荷主企業のCLO設置により、物流業界のリソース獲得合戦が本格化します。そのために準備するのが2025年後半というところでしょうか。
物流リスク対策~今すぐ始めるべき10のステップ~
荷主企業としては自社のリスクに対する具体策を決定し、実行に移さなければなりません。そのための活動は下記のステップです。
- 幹線輸送・末端輸送・保管・荷役・流通加工におけるリスクを洗い出す
- リスクの大きさを数値化する
- リスクの緊急性を数値化する
- リスク解消の所在(自社orパートナー企業)を区分する
- リスク解消した時のあるべき姿を明文化する
- リスク解消の具体策を策定する
- リスク解消の難易度及び必要期間を数値化する
- 8,2,3,7をもとに優先順位を決定する
- ロードマップとしてリスク解消の実行ステップをスケジュール化する
- 経営層に物流リスクを説明する機会を設け、経営に与えるリスクを共有する
これからの国内物流環境の変化とそれに起因する荷主企業の物流リスクは、時間が経過することで自然に解消されるものではありません。時間の経過とともに顕在化するものです。先んじて動くことで選択肢は残されており、交渉や選択も厳しさが回避できます。早く動くことが肝要といえます。
≫ 関連資料「荷主企業が取り組むべき特定荷主の義務とCLOの役割」をダウンロードする(無料)
さいごに
船井総研ロジではロジスティクス・リーダーシップ・サロン(LLS)を運営しています。その中で、まさに今注目されているCLOの設置状況や、先進的な企業の取り組み事例について情報交換会を行っております。



