○○の値上げが2025年の物流業界の行く末を左右する!
2024年もあっという間に終わりを迎えようとしています。しかし、今まさに年末年始の繁忙期対応で各社追われているのではないでしょうか。
2024年は、「2024年問題」「物流関連2法改正」、この2つの法律の施行および公布が物流業界への大きな影響を与えたとともに、逆に物流面の変革を進める機会になりました。これまでは、二の足を踏んでいた荷主企業も政府の方針が追い風となり、社内外および着荷主・発荷主の理解も徐々に進みました。
特に関心が大きいトピックスの一つとして「値上げ」がありますが、この年末に政府から発表された内容が物流業界にとっても大きな激震となりました。
そこで、今回は荷主企業の物流担当者が知っておくべき、「値上げ」に影響する要因についてお伝えします。
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目次
1,補助金の縮小と軽油暫定税率の動向
1-1,補助金の縮小
コロナ禍による経済活動への影響、ロシアによるウクライナ侵略に伴い価格高騰などの状況を踏まえ、政府は2022年1月から燃料油価格激変緩和補助金を導入し、燃料価格の高騰を抑えてきました。しかし、この補助金は段階的に縮小され、2024年12月19日からはさらに減額がされました。
- ・2024年12月19日より 約5円/Lの補助金減額
- ・2025年 1月16日より さらに、約5円/Lの補助金減額
- (12月19日からの減額分と含めると約10円/Lの減額)
補助金が減額する分、軽油価格が高騰することになります。これにより影響することは、物流業界における燃料費高騰におけるトラックを運行する際にかかる経費(原価)の高騰です。その結果、運賃値上げ(燃油サーチャージ増)となることが予測されます。
1-2,軽油暫定税率の動向
政府によって燃料油価格激変緩和補助金が段階的に減少している一方で、暫定税率廃止に向けた動きもあります。軽油価格を構成する項目の一つである、暫定税率(軽油引取税)の17.1円/Lが廃止されることが政府内で合意されました。ただし具体的な時期は確定していません(現時点では2026年度を予定)。
2,補助金と税制、複雑な影響
補助金は下がり軽油単価が上がると思いきや、税の廃止に伴い軽油価格の上昇が抑えられるのでは?とお考えの方もいるかもしれません。しかし、一筋縄ではいきません。補助金減額と暫定税率廃止に伴う主な影響は以下のとおりです
- ・補助金減額・・・軽油単価高騰、運賃値上げ、政府予算の確保
- ・暫定税率廃止・・・軽油価格の抑制、税収の減額、CO2排出量削減への足かせ
上記の赤字部分は各々の施策における「デメリット」になります。国内市場を鑑みたうえでの各種対応施策とはいえ、全体で見たときには、他方面への影響を及ぼすことも考えなければなりません。
3,さいごに
物流コスト、特に運賃は複数の要因が複雑に関係しています。このような政府の動向もしっかり注視しながら、物流業界における影響、つまり「値上げ」に影響する要素もしっかり把握しましょう。
参考資料:経済産業省 資源エネルギー庁 燃料油価格激変緩和事業(https://nenryo-gekihenkanwa.go.jp)
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