ESGへの取り組みを加速するには?

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西村 和洋

船井総研ロジ株式会社 エグゼクティブコンサルタント

製造業、小売チェーン店、通販企業などの荷主企業の物流改善(委託先企業選定、物流業務設計)、コストダウン、物流拠点戦略の策定などに従事し、特に、IT(情報システムの戦略、設計、構築など)を得意とする。ロジスティクスのコストダウンと品質アップの実現を、物流フロー改善・業務改善・情報システム改善等の多方面の視点から提案している。​​

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ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った用語であり、ESGへの取り組みは企業が長期的に成長するために必要な観点として捉えられています。

本号では、物流業界がESG経営に取り組む際の考え方と、着手する順序についてお伝えします。

ESGへの取り組みを加速させる S(社会)・G(ガバナンス) 

物流部門としてESGへの取り組みを考えた場合、まずイメージするのはE:環境に関する取り組みではないでしょうか?

日本の部門別二酸化炭素排出量(2021年度)は産業部門(工場等)が35.1%と最も多くなっていますが、運輸部門も17.4%を占めています(※)。

産業部門は運輸部門と比べ省エネなどの取り組みは先行しており、企業内で見た場合、産業部門よりも運輸部門に期待がかかるのは当然と言えます(運輸でも排ガス対策、モーダルシフトなど取り組みはされていますが)。

また、ESGの最初にEが出てくることから、まずは環境との意識が先行することも要因でしょう。

ただ、個の荷主企業が環境に対して今すぐ取り組めることには限界があるのも事実です。

最も二酸化炭素削減に効果が期待されるモーダルシフトもすぐの供給拡大は難しく、ダブル連結トラックやBEVトラック、中継幹線輸送などは、業界全体の取り組みが活性化する必要があります。

そこでまずはS(社会)、G(ガバナンス)に注目してはいかがでしょうか。

ダイバーシティーの観点からの取り組み

物流部門でS(社会)に関する取り組みは、例えばダイバーシティーの観点から年齢、性別、国籍に関係なく働ける職場づくりを目指すのであれば、採用、教育という観点以外にも帳票表示をアルファベットにして誰でもわかるようにする、AMRなどのロボットを利用して作業を容易にする、等の取り組みであれば早期に導入が可能です。

また、待機トラックによる事故を防ぐため、駐車場を確保する、バース予約システムの運用を行う、等の取り組みが考えられます。

「ソーシング」と「パーチェシング」の分離

物流部門でG(ガバナンス)に関する取り組みとしては、「ソーシング」と「パーチェシング」の分離が挙げられるでしょう。

ソーシングとは「必要なサービスの仕様、取引条件を明確にし、取引先の選定や交渉を行うこと」であり、パーチェシングとは「ソーシングによって決定された条件を元に、日々の発注、納品、検収、支払までの購買プロセスを実行すること」となります。

ただ、車両手配をはじめとした物流業務では、ソーシングで明確な取り決めをせず、パーチェシングにて詳細条件を決めることが多くあります。

手配は現地で行うことが多く目が届かないこともあわせ、ガバナンス面で問題が発生しやすい環境であると言えます。

ソーシングは本社で行い契約条件などを一括管理する。パーチェシングはシステム化し属人的な運用ができないようにする等の取り組みが必要でしょう。

※参考)国立環境研究所「温室効果ガスインベントリ」より

業界の最重要課題への取り組み状況を知り、自社に落とし込む

このような中、船井総研ロジでは荷主企業の物流担当者が集う「ロジスティクス・リーダーシップ・サロン」を2024年1月度より新しく開始します。

他の会社はESGに対してどのような取り組みをしているのか?公に公開される前に情報共有する場として活用いただければと思っております。

当会合ではリアル開催で直接担当者が集まることで様々な物流課題(2024問題・共同配送・行政方針対策・コスト削減・業務改善・ESGなど)について意見交換します。

ご興味ある担当者様は是非一度参加ください。お試し参加も可能です。

詳しくはウェブサイトをご確認いただき、参加申し込みください。

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