物流倉庫のDX投資が失敗する典型パターンと回避のポイント

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野村 涼

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクス支援部
大阪コンサルティンググループ アソシエイト

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近年、物流業界でも「DX」や「自動化」が注目されていますが、その響きに惹かれて投資だけが先行し、「最新設備を入れたのに現場が変わらない」という声も少なくありません。その多くは、導入プロセスや準備段階に潜む落とし穴が原因です。

倉庫自動化で成果が出ない陥りがちな3つの落とし穴

落とし穴1:目的が不明確な状態で導入

「周りがやっているから」「最新だから」という理由で導入すると、導入効果をどの指標で測るのか、どの程度改善すれば成功となるのか曖昧になり、結果として“成果が出ない”状態に陥ります。入出庫量や作業時間などの定量面、動線の無駄や作業手順の複雑さといった定性面を分析せず機器を入れると、効果測定も改善もできません。

まずは解決すべき課題と将来像を明確にし、現状分析することが必要です。

落とし穴2:運用フローを見直さない

自動化機器を既存の手順にそのまま組み込んでも十分な効果は出ません。工程間の能力バランスを取らず単一工程だけを自動化すると、前後の工程が追いつかず作業の待ち時間が増え、全体効率が低下します。そのため、導線やレイアウト、人員配置を含めた再設計が重要になります。

落とし穴3:データ活用・人材育成の不足

新しい技術やシステムを導入すると、入出庫量や在庫量、稼働状況などのデータが自動的に蓄積されます。しかし、そのデータを分析し、業務改善やコスト削減に活かせる人材や仕組みがなければ、ただデータが溜まるだけです。出荷ピーク時間の分析結果を使って人員配置を最適化する、といった活用ができるような、社員教育や意識改革も不可欠です。

次世代倉庫戦略の本質は、単なる設備導入ではなく、業務プロセス最適化・データ活用・人材育成の三位一体による現場力強化です。投資前に、自社の現状と将来像を明確に描くことが成功の第一歩となるでしょう。

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さいごに

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