物流拠点は分散すべき?メリット・デメリットを解説
近年の配送コスト高騰や拠点機能停止による物流リスクを背景に、荷主企業の間では物流拠点を分散する傾向が続いています。物流拠点の分散とは、一つの拠点だけでなく複数の拠点を持つことです。では、物流拠点を分散することはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?それぞれ解説します。
目次
物流拠点を分散するメリット
BCP対策
物流拠点を分散する一番のメリットは、緊急時における物流リスクを分散できることです。物流拠点を複数持つことで、自然災害やシステム障害など緊急事態が発生した場合でも、別拠点での対応が検討でき、物流業務の継続性を高めることにつながります。
リードタイムの短縮
物流拠点を分散することにより、リードタイムを短縮できます。
例えば東京1拠点の場合、東京から大阪まで荷物を配送するために、物流企業は長距離配送を行う必要があります。しかし、物流拠点を東京と大阪に分散させることで東日本の荷物は東京の物流拠点から、西日本の荷物は大阪の拠点から、とより近い拠点からの配送が可能になります。
よって、一か所に拠点を集約するのに比べ、拠点から得意先までの配送時間を短くできます。加えて、物流企業の長距離配送が減りドライバーの拘束時間が短縮されることで、2024年問題への対策としても有効です。
配送コストの削減
リードタイムの短縮に加え、配送コストを削減できる可能性があります。得意先により近い拠点から出荷することで、物流企業は配送距離が短くなりドライバーの人件費やトラックの燃料費など配送に関わるコストを抑えることができます。荷主企業においては、配送コストは距離と物量で決まりますので、距離が短くなることで、配送コストの削減につながります。
物流拠点分散のデメリット
在庫管理の煩雑化
物流拠点を分散するデメリットのひとつは、在庫管理が複雑になることです。複数の拠点を運営する場合は拠点ごとに在庫の振り分けや管理、発注依頼を行うため、一括管理できる物流拠点の集約に比べ手間が発生します。効率化を図るためには、在庫管理システム導入の検討が必要です。
在庫数の増加
各拠点で必要な在庫数+安全在庫を持つため、全体の在庫数は増えます。また、物流拠点の分散により拠点ごとのアイテム数を絞る場合は、一拠点あたりの在庫が減り欠品を起こしやすくなる可能性も考えられます。欠品を補うために拠点間での無駄な横持が発生してしまうと横持コストもかかり、結果的に物流の全体コストを増加する恐れがあります。
保管・荷役コストの増加
物流拠点ごとに在庫の保管スペースや設備が必要となり、保管コストが増加します。また、拠点数に準じて荷役業務も発生しますので、荷役コストの増加につながります。物流拠点の分散は、配送コストを削減できる一方で、拠点全体の保管料を増加させてしまう可能性があります。
リスクを回避するなら分散
いくらコスト削減や効率化を図っていても、物流拠点が機能しなくなれば事業は継続できません。物流リスクの回避に重きを置くのであれば、物流拠点は分散させる方が適していると言えるでしょう。
しかし、物流拠点の分散であっても、在庫管理の煩雑化や在庫数の減少などデメリットは必ず存在します。物流拠点の集約・分散を検討する際は、自社の課題や商品特性、物流において重視することを考慮した上で、物流戦略にあった運用を取り入れることが大切です。
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