荷待ち時間および荷役時間の算定方法が明示!物流関連二法に関する省令・告示内容をわかりやすく解説

船井総研ロジ

Pen Iconこの記事の執筆者

船井総研ロジ株式会社

船井総研ロジ株式会社

2025年2月18日、国土交通省は「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」に関する省令・告示を公布しました。

この改正法は、荷主企業と物流企業の双方に物流効率化に向けた取り組みを促すもので、2025年4月1日から一部が施行されます。

本コラムでは、2025年2月18日に国土交通省から公布された省令・告示の内容について、特に重要な部分をわかりやすく解説します。

物流関連二法と2025年2月公布の省令・告示について

2025年2月18日、国土交通省から「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(以降、物流総合効率化法)及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」の施行にともなう関係省令・告示が公布されました。

今回の関係省令・告示は、改正法の一部が2025年4月1日から施行されるにあたり、改正法の基本方針や、荷主企業と物流企業が取り組むべき対応についての判断基準を定めたものです。

改正法とは、「物流関連二法」のことで、「物流総合効率化法」「貨物自動車運送事業法」の2つの法律を指しています。

物流総合効率化法:荷主と物流事業者が協力して、モノの流れをスムーズにし、物流業界全体の効率化を図るための法律。具体的には、荷物の配送ルートの調整やトラックの積載効率向上など、荷主と物流事業者双方に、より効率的な物流システムの構築が求められます。正式名称を「物資の流通の効率化に関する法律」。物効法とも呼ばれる。

貨物自動車運送事業法:トラック事業者がより効率的に輸送業務を遂行するための法律。具体的には、トラック事業者は、配送状況のリアルタイムな把握やドライバーの労働時間管理などを通して、輸送の効率化とドライバーの労働環境改善の両立を目指す。貨物事業法とも呼ばれる。

主な改正点として、荷主企業と物流企業双方に対し、物流効率化に向けた具体的な取り組みを努力義務として課すことが挙げられます。これにより、荷主企業と物流企業が連携して物流効率化に取り組むことが促進され、ドライバーの労働環境改善や輸送力不足の解消などが期待されています。

具体的には、荷待ち時間および荷役時間の算定方法の明確化、荷主企業と物流企業が取り組むべき対応、例えば、荷待ち時間の短縮・荷役の効率化・積載率の向上などに関する判断基準、基本方針が定められました。

荷待ち時間および荷役等時間の算定方法について

荷待ち時間とは、ドライバーが集荷・配達場所で待機している時間のことで、長時間労働の一因となっています。国土交通省が行った調査では平均で2時間、最大で10時間も待たされるケースがあることが分かっています。

今回、省令の一部を改正し「荷待ち時間」と「荷役時間」の算定方法が定められました。「荷待ち時間」は、ドライバーが集荷もしくは配達を行うべき場所、またはその周辺の場所に到着した時刻から、荷役を開始した時刻までの時間(荷主企業の都合により待機した時間に限る)と定義されました。

荷役時間については、荷物の検品・荷造り・搬出・搬入・保管・仕分けまたは陳列・ラベル貼付など、ドライバーが荷役を開始した時間から終了した時刻までの時間と定義されました。

また、2028年度までに全国の貨物自動車による輸送のうち、5割の運行で荷待ち時間を短縮、さらには、ドライバー1人当たりの荷待ち時間を年間125時間短縮することが目標に設定されました。

上記目標を達成するため、荷主企業は、1回の受渡しごとの荷待ち時間について、原則として目標時間を1時間以内と設定、業界の特性その他の事情によりやむを得ない場合を除き、2時間を超えないよう、荷待ち時間を短縮することが求められています。

同様に、物流企業に対しても、トラック予約受付システムの導入や到着時刻表示装置などの導入、荷物の受渡しを行う日および時刻を分散させることなど、荷待ち時間を削減するための具体的な取り組みが求められています。

積載効率向上に向けた取り組み

積載効率とは、トラックの最大積載量に対する実際の積載量の割合を示す指標です。積載効率が低い場合は、トラックの積載スペースが有効活用されていないことを意味し、輸送効率の低下や環境負荷の増大につながります。

公布された省令・告示では、積載効率の向上に向けて、荷主企業と物流企業双方に努力義務が課せられています。

荷企業主には、荷物量の平準化や、荷物の引渡し日時を分散させる取り組みなどが求められ、物流企業には、共同配送やモーダルシフトなど、積載効率を向上させるための輸送方法の導入が求められています。

また、2028年度までに、全国の貨物自動車による輸送のうち、5割の車両で積載効率50%、全体で44%へ増加する目標が定められました。(現在の積載効率は40%以下)あわせて、1運行当たりの輸送効率の向上において、重量ベースだけでなく、容積ベースでも改善を図ることが明記されました。

今後の展望 – サプライチェーン全体の効率化と環境負荷低減への貢献

政府は、今回の改正法を、物流業界における2024年問題への対応と持続可能な物流の実現に向けた重要な一歩であると位置づけています。

具体的には、トラックの総走行距離や積載効率が改善されることで、CO2排出量の削減にも貢献することが期待されています。実際、環境負荷の低い輸送手段である鉄道や船舶へのモーダルシフトの推進についても明記されています。

今後、改正法に基づく取り組みが推進されることで、ドライバーの労働環境改善や輸送力不足といった物流業界の課題解決だけでなく、持続可能な社会の実現を目指していることがわかります。

ESG投資の拡大やSDGsへの貢献が求められる現代において、環境負荷の低減は企業価値を向上させる重要な要素です。

今回の改正は、サプライチェーン全体での協力を促進する契機となります。荷主と物流事業者が一体となって課題に取り組み、改善を進めることで、競争力強化、企業価値向上、持続可能性の確保を目指してみてはいかがでしょうか?

【関連資料】2025年度、2026年度に施行される改正流通業務総合効率化法とは?

改正流通業務総合効率化法|船井総研ロジ株式会社

本コンテンツでは、法改正の概要や法改正による荷主企業への影響、その対策方法を解説いたします。

  • 【資料を読むと、下記のようなことがわかります】
  • ・流通業務総合効率化法とは
  • ・法改正が与える物流業界への影響
  • ・荷主企業の具体的対応策 
船井総研ロジ

Pen Iconこの記事の執筆者

船井総研ロジ株式会社

船井総研ロジ株式会社

その他の記事を読むArrow Icon

人気の記事

ページの先頭へ