計画的に進める物流拠点配置検証の基本ステップ解説

拠点配置検証は検討事項が多く、判断にもノウハウが必要なため、自社で実施するには困難であると判断される企業が少なくありません。皆様も定期的な最適検証の必要性は感じていてもハードルが高く、取り組みづらさを感じられているのではないでしょうか。

その要因の1つは“全体像のイメージができない“という点にあると考えられます。全体像を明確にせずに取り組みを進めた場合、想定以上の時間と人手がかかることに加え、通常業務と並行して取り組むことが難しいため、頓挫してしまうケースも少なくありません。

今回は、ゴールを見据えた状態でスタートが切れるよう、拠点配置検証の基本ステップを解説いたします。

9つの基本ステップ

拠点配置検証の大きな流れは以下となります。

①物流戦略策定

物流は経営戦略を実行するための手段のひとつであるため、物流戦略はそれに紐づいたものである必要があります。長期的な経営全体の方向性を考慮した戦略立案が大切です。

②拠点コンセプト(機能・立地など)の整理

拠点配置のコンセプト整理では、物流戦略を具体化するために必要となる拠点の機能や立地等の条件及び拠点が担う機能を整理します。

③拠点配置検証のスケジュール整理

拠点配置検証のゴールを明確にし、それを達成するためのスケジュール及び必要な段取りを整理する必要があります。
※必要に応じて社内で専門チームを組成して取り組みを進める事をお勧めします。

ここまでは、あるべき姿に向けた方針策定の段階であるため、経営層はもちろん関係部署とも合意を取りながら慎重に進めることが必須です。これらをどこまで明確にできるかが、後の検証ステップの進めやすさを左右することになります。

続いて、

④既存物流網の現状把握

既存物流網の実態を定性面と定量面の両面から捉えて、数値化と図式化により整理します。

⑤ギャップの確認

②の「拠点コンセプト」と④の「既存物流網」を比較し、あるべき姿と現状のギャップを明確にします。

⑥仮説案の整理

⑤で整理した「ギャップ」を踏まえて複数の仮説案を立案します。拠点配置検証ではトレードオフの関係となる要素(コストと品質、リスクなど)もあるため、様々な仮説案を検証することで、自社の経営戦略との整合性を担保することができます。

⑦制約条件・評価軸の整理

コンセプトを実現する際の優先事項及び制約条件と評価軸を整理し、評価者の目線を一定に保つことが重要です。また評価軸は、経営戦略や物流戦略の目的からずれが無いかも注意しておく必要があります。

⑧仮説検証実施

与件を同条件に揃え、数値シミュレーションと定性分析を行います。

⑨仮説案評価・検討

トータル物流コストによる定量評価に加えて、定性面及びリスクにおける検証結果を各評価軸に落とし込み、優劣をつけます。この結果を横並びに比較することで経営層が最終判断を下すことが可能になります。

以上が拠点配置検証のステップの概要です。社内の他部門を巻き混みながら取り組みを進めていく事は決して容易な事ではありません。だからこそ、これらの基本ステップを把握し、共有できていることが重要です。拠点配置検証のスケジュール感や工数に見通しを立てられれば、計画的に大きな一歩を踏み込むことができるのではないでしょうか。

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さいごに

船井総研ロジでは、「物流拠点配置」にテーマを当てた、メルマガシリーズを定期配信しています。是非、次回以降も拠点配置メルマガをお読みください。

また、7月24日(水)には拠点配置検証をテーマとしたセミナーを開催いたします。本セミナーでは拠点配置検討の全体像、現状把握の進め方、拠点配置仮説案の検証・評価方法などについてお伝えいたします。新拠点構築を検討されている方、アイディアはあるが比較・評価方法が分からないという方などに必見の内容となっております。是非ご受講いただき、拠点配置検証の流れのイメージを掴んでいただければと思います。

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