AIブームの中で物流担当者が意識すべきこと

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西村 和洋

船井総研ロジ株式会社 エグゼクティブコンサルタント

製造業、小売チェーン店、通販企業などの荷主企業の物流改善(委託先企業選定、物流業務設計)、コストダウン、物流拠点戦略の策定などに従事し、特に、IT(情報システムの戦略、設計、構築など)を得意とする。ロジスティクスのコストダウンと品質アップの実現を、物流フロー改善・業務改善・情報システム改善等の多方面の視点から提案している。​​

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私がこの業界に入った二十数年前からあるにもかかわらず、今ひとつ活用が進んでいないものが2つあります。自動配車と需要予測です。今回は、なぜ自動配車と需要予測が浸透しなかったのか、また物流2024年問題に向けての活用について解説いたします。

自動配車・需要予測が浸透しない理由

自動配車は荷卸先、物量、時間・車両指定などの条件を入れると、最も少ない車両数での配送スケジュールを立案するシステムです。

当時はシステムが1,000万円程度、ちょうど10トン車の車両価格と同じぐらいでした。導入にあたっては自動配車で車両が1台減ればそれで元が取れる、2台以上減れば儲けものという考えの少数の物流会社と、自動配車なんて当社のベテラン配車マンには及ばないと考える多数の物流会社に分かれていたと思います。

そもそも車両台数が少ない、配車権を有していない、長距離輸送が多い物流会社が大半を占める状況とあわせ、自動配車システムは地場大手以上を除き、残念ながら浸透しませんでした。


需要予測は文字通り需要を予測するもので、その結果を基に原材料の調達量を決定、生産スケジュールの作成、輸送に必要なトラックを手配するなどの目的で利用されます。

需要予測は回帰と時系列分析がありますが、主として時系列分析を中心に大手製造業におけるSCMの一部として導入が進みました。現在では卸売業、流通業まで活用領域が拡大していますが、大手企業が中心で、中堅中小企業での活用はまだまだです。

物流2024年問題に向けて取り組むべきこと

需要予測でより正確な物量見込みを出し、その物量を自動配車により最小の車両台数で配送する、自動配車と需要予測は主たる対象が物流会社と荷主という違いはありますが、いずれも効率化の両輪として必須のものであり、競争力を高め、物流2024年問題を解決するために検討すべき仕組みであることは間違いありません。

当社のクライアントにおいても徐々にではありますが導入事例が増えてきていると感じます。幸いにも昨今のAI技術の進展により、自動配車、需要予測ともに精度の向上が図られています。これからは大手だけではなく、中堅中小企業も自動配車や需要予測を使って業務の効率化を図ることが当たり前のこととして定着するでしょう。

物流担当者としては、自動配車や需要予測だけでなく、AI技術の進展により可能となったテクノロジーについて、自社への適用が可能かどうか常に意識しておく必要があります。

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