物流コンサルタントの視点 最新更新日:2022.04.12

ドライバーの「荷待ち時間問題」把握していますか?

政府が掲げる、「働き方改革」ですが、トラックドライバーの「働き方改革」は、まだまだ進んでいないのが現状です。
平成29年度に国土交通省からトラックドライバーの運行時間の記録と保管が義務づけられました。
≫参考記事:https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000128.html(国土交通省 )
背景には、そのデータを基に、「トラック事業者と荷主の協力により、改善取り組みを促進すること」「手持ち時間を発生させている荷主に対する勧告のための判断材料として利用すること」があるようです。

荷待ち時間問題とは

荷待ち時間とは「荷主や物流施設の都合によってドライバー側が待機している時間」のことを指しています。また、荷物の積み下ろしや荷主の指示待ちで待機している時間も含まれています。
上記からも分かるように、トラックドライバーの労働時間について、運送事業者単体での解決は、もはや限界を迎えつつあると言えるのではないでしょうか。
社会全体が働き方改革を推進する流れの中で、労務規定など一層の遵守も求められる中、今後の改善に向けては、荷主と運送事業者間の連携や協力が必要不可欠と言えます。
ドライバー側がいくら時間短縮を心掛けていても発生してしまう場合もあり、業界では問題視され続けてきました。

荷待ち時間とドライバーの労働時間

「荷待ち時間」=「労働時間(拘束時間)」となりますので、荷待ち時間が増えれば労働時間も増えることになります。
荷主側都合か運送事業者側都合かは関係なく、荷待ち時間は労働時間となりドライバーへの負担は小さなものではありません。また、荷待ち時間に対して荷主側から追加料金などが支払われることは基本的になく、ドライバーの荷待ち時間を『休憩』扱いとして処理している運送会社も多く、トラックドライバーの給料に反映されるようなこともない現状があります。本来であれば、適切な残業代を支払う必要があります。
さらに、荷待ち時間が発生することで労働時間が長引き、「早く次の納品を終わらせなければ!」とドライバーの焦りから事故に繋がるリスクも増加します。

運送事業者だけの取り組みでは解決できない

荷待ち時間問題について、早急に荷主が荷待ち時間の改善をしてくれるのであれば問題はありません。
荷待ち時間を解消できれば、ある程度の労働時間短縮は図れます。
しかし、運送事業者だけの取り組みでは難しい課題となっていることが考えられます。
例えば、あるメーカーの生産工場では、入出庫できるバースの数が少なく入出庫が集中すると、荷待ちをしているトラックが長蛇の列を作ることになります。
また、トラックが入庫した際に、実際の商品が完成していなかったり、配達時に荷受人の入荷準備が出来ていなかったりすることにより、ドライバーが待たされてしまうという実例もあります。
上記の実例からも分かるように、運送事業者側の努力だけでは労働時間の短縮は進まないでしょう。

カギとなる物流×IT

では荷待ち時間を減らすためにはどのような方法が有効でしょうか。
いくつか考えられますが、そのひとつにITを活用した業務の効率化があげられます。
今流行りの「トラック予約受付システム」が荷待ち問題解消の切り札として広がりつつあります。
もちろんこのシステムを導入したからといって、すぐに荷待ち時間がなくなるということはないでしょう。そもそも荷待ち時間を減らすには、顧客である荷主や荷受人の協力も必要だからです。
運送事業者は、改善に向けて、ドライバーの労働時間の実態を把握し、問題のある荷主企業に対しては、改善を求める等の取組も必要になると思います。
そして、定期的な連絡会を開催する等、荷主企業と運送事業者が一体となり、荷待ち時間の改善、荷役作業の効率化等、長時間労働の改善に取組んでいくことが望まれます。
あわせて配送ルートや走行時間と荷待ち時間を記録し照らし合わせることで、それらの傾向をもとに少しでも効果的な配車を組むことも有効ではないでしょうか。

まとめ

運送業界は今後、人手不足がますます深刻化するといわれていますが、ドライバーの労働条件の改善は避けて通れない問題であると言えます。
荷待ち時間の記録が法律で義務化されただけで、すぐに問題が解決されるということはないかもしれません。荷待ち時間解消に向けた対応はどこまで進んでいるのか。
荷主側にもコンプライアンスの遵守が求められる為、荷待ち時間問題はもはや無視できない課題となっています。
運送事業者が運送の対価である「運賃」とは別建てで、荷待ち時間への対価の必要性を、荷主へ浸透させていくことも必要だと考えられます。
運送事業者は荷主を巻き込んで、これまでの運用を見直さなければなりません。
まずは現状の労働時間の内訳を知り、課題解決に向け当社がお手伝いできることがあれば幸いです。

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Pen Iconこの記事の執筆者

山口 千知

船井総研ロジ株式会社 チーフコンサルタント

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