求荷求車システムの案件実態

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梶原 拓馬

物流ビジネスコンサルティング部 主任コンサルタント

中小の運送・物流企業に向けた、業績アップコンサルティングを展開。ドライバーの採用・育成・定着やマーケティング戦略の立案・販促・営業力強化の支援をテーマにコンサルティングを行なっている。

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2024年労働時間の上限規制によるドライバーの賃金低下が予測される中、適切な運賃の収受や実車率の良い運行はより重要となります。

そこで本コラムでは、WebKITによるデータ分析からわかる、求荷求車システムの案件実態をお伝えします。

WebKITによる7年分のデータ分析

適切な運賃の収受・実車率の良い運行を実現できているか調査するため、ascend株式会社は、国土交通省から委託を受け、日本貨物運送協同組合連合会の求荷求車システム「WebKIT」の2014年から7年分の取引データの調査・分析を行いました。

WebKITの輸送品目別登録案件数は「その他」を除き、「機械・装置」が一番多く、続いて「金属製品」、「建材」となっています。

分析からわかること

WebKIT上の登録案件数は2018年度まで順調に増加したものの、2019年度以降はコロナ禍の影響もあり減少傾向です。

2018年度の伸びは夏の猛暑によるスポット案件が増えるものの、2019年度は米中貿易摩擦や消費税増税によって案件数が減少、更に1月以降はコロナ禍に見舞われ全体案件数が大きく減少しました。特定の輸送品目が大きく減少したわけではなく、構成比が大きく変化している輸送品目が存在しないことが確認されています。


地域別にみると、「関東・近畿・中部」の大都市圏での案件が過半を占めています。北海道及び沖縄での成約件数は僅かです。車種としては「平型・ウィング型・ユニック」の案件が大半を占めており、車格のみで構成比を確認すると、大型:50%弱、小型:30%強、中型:20%弱という傾向が7年間継続しています。

成約単価は、コロナ禍の影響を大きく受けた2019年度以降大きく下落しています。一番登録案件数多い「機械・装置」では2019年度の指標が1.20に対し、2020年度は1.0まで下落しています。コロナ禍によって設備投資を控えさせる結果となりました。

一方で、7年間を通して指標が高いのは「セメント製品、畜産物、引越貨物」、とくにセメント製品の単価は非常に高い平均+35%の指標でした。

今後の動向

今回の調査で案件数減少、単価高騰の運送事業者には厳しい状況の一方、成約率は上昇していることが分かります。

求荷求車システムは、特に帰り荷を確保し実車率を高める手段としての貢献が認識される中、「荷物がないよりは安値でも受けるほうがよい」という心理状態での価格競争により、運送価格の下落を助長させる可能性もあります。

2024年に向けて定期配送は運賃の値上げが始まっています。スポット案件の運賃動向にも注視が必要です

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