物流企業の新卒採用 成功の鍵を握る「経営層の3つの役割」

Pen Iconこの記事の執筆者

大倉 進之介

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネス支援部
物流HRグループ ダイバーシティチーム アソシエイト

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少子化が進む今日、新卒採用活動においては、以前のように求人を出せば応募が来るという時代は終わり、採用戦略は「量」から「質」へとシフトすることが求められています。

母集団の「質」が高いとは、自社の求める人物像に合致する学生からの応募が多く集まっている状態を指します。良質な母集団を形成できれば、採用活動の成果は高まり、企業の永続性や競争優位にもつながります。

では、良質な母集団形成に必要なことは何でしょうか。これは、単に採用担当者の力量や努力という問題ではありません。それ以上に、“トップ(経営者)の採用活動への関与”と、“組織内における協力体制の創出”が非常に大きな要因となります 。

トップ(経営者)が果たすべき3つの役割

1.「全社的な取り組み」としての位置づけ

就職活動を行う学生は、入社後のキャリアや働くイメージを重要視する傾向が強まっています 。そのため、採用媒体への掲載や学生との座談会など、幅広いフェーズにおいて現場社員の協力が不可欠です。

しかし、現場社員は自身の業務を抱えているため、採用活動に非協力的な場合も少なくありません。このような課題を解決するために、トップ自らが採用活動を全社的な取り組みとして宣言し、各部門に積極的な協力を指示することが重要です。トップのコミットメントによって円滑な部門間連携が促進され、学生に入社後のリアルなイメージを伝えることでミスマッチを低減しることにつながります。

2.組織戦略に基づく「情報提供」のリード

採用活動における情報提供は、人事部門任せにすべきではありません。なぜなら、採用担当者が求める人物像と、現場がその部署の仕事にフィットすると考える人物像には必然的にズレが生じるからです。そして、この情報提供のずれは、母集団の質が低下するリスクを高めます。

ですから、トップが発信する情報の取捨選択や最終決定に関与し、戦略的にリードすべきです。トップの理念やビジョン、そして求める人材像を反映した一貫性のある情報を提供することで、学生に強い説得力を与え、自社が求める人材を惹きつけることができます。

3.採用担当と現場社員との円滑なコミュニケーションの設計

採用担当と現場社員とでは採用活動に対する目線が異なるため、両者間でのズレが発生することは当たり前だと認識することが大切です。

重要なのは、そのズレが起きてもうまくコミュニケーションが取れるようにトップが土台をデザインすることです。前述の通り、採用担当者と現場との間でズレが生じていると、逆に母集団の質が下がるという調査結果も出ています。したがって、採用活動の開始前から、両者がスムーズに動けるよう、自社として求める人物像はどのような人材かを明確に定めることがトップには求められます。

新卒採用の成功は、“経営層が戦略的に採用活動をデザインしているか”にかかっています。採用手法や媒体の選定も重要ですが、まずは自社内の体制の見直しと意識改革から進めてみてはいかがでしょうか。

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大倉 進之介

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