効率的に効果のある安全指導を行う方法

山口 哲也

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山口 哲也

船井総研ロジ株式会社
物流ビジネスコンサルティング部
コンサルタント

運送・物流会社の「安全指導」や「管理職教育」をメインテーマとしてコンサルティングを行っている。現場で抱える、安全指導に関する課題に対して、最適な指導方法の提案や指導の仕組化を得意としている。トラック協会での講演経験も多数あり、現場主義の考え方のもと、安全指導・事故削減に対する課題解決のノウハウを数多く持っている。

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今回は事故が起こった際に効果的な指導・対策が実施できる管理者の育成方法とポイントを解説していきます。

なぜ安全指導しても事故件数が減らないのか

安全教育がうまく社内浸透しない会社は○○ができていない?

2024年問題をキッカケに運送会社を取り巻く環境は大きく変化しています。主には運行時間に大きな影響を及ぼし、指導に使える時間も短くなっていきます。では少ない時間の中で、事故が起きず荷主から選ばれる会社の共通点は、効率的に効果のある指導ができる環境がある会社です。

「効率的かつ効果的な指導ができる環境」を作るために、経営者と管理者は根拠にもとづく具体的な指導ができるようにする必要があります。安全教育がうまく社内浸透しない会社は以下のような状態が多いです。

  • 1.指導内容が標準化されておらず、管理者によって言うことがバラバラ
  • 2.抽象的な表現の指導が増えてしまう(しっかり、よく見てなど)
  • 3.事故原因の特定が正しくできていないので有効な対策が作れない

特に無意識にやってしまうのが、2番目の「しっかり」や「よく見て」などの抽象的な言葉で指導を終わらせているケースです。たしかに、事故防止においてしっかり確認やよく見るというのは大事なことなのですが、感じ方に個人差が生まれやすいです。しっかりのイメージは5秒のドライバーもいれば、2秒のドライバーもいます。こういった事故防止のための行動自体が標準化されていないと同じような事故が増え続けていき、最終的には大きな事故につながるケースが多いです。

事故が少ない運送会社は、より具体的に【どこを】【どれくらい】【なにをするのか】という形で具体的な指導ができており、それを先導できる管理者が育っています。なのでまずは具体的な指導が実施できる管理者の育成を目指しましょう。

また、3つ目に記載をした事故の原因特定もできていない会社が多いです。ここができていないと、2つ目の抽象的な表現にもなりやすいです。

原因を考える際4つの視点

事故というのは結果ですので、結果に対して真因を特定できる能力が管理者にあれば、具体的な指導をすることができるはずです。ですので、真因の特定する能力を鍛える必要があります。その為には事故を多角的に分析することが必要です。ぜひこれから伝える4つの視点で事故を分析するようにしてみましょう。

乗務員、相手によるもの
・ストレス、あせり、緊張状況(飽き、意欲低下)
・疲労、健康状態、違反、手抜き
・知識や経験不足、心配事、気掛かり

車輛、設備等によるもの
・整備不良(ブレーキ不良、タイヤ不良)
・車内状態(安全窓をふさいでいる、カーテン)

周囲の環境によるもの
・天候、時間、季節、交通量
・見えにくいい(まぶしい、暗い)
・坂道、照明環境

④運行管理、制度によるもの
・労務管理(勤務状況、疲労対策)
・点呼実施体制(形式的、マンネリ)
・情報伝達体制(情報の共有)
・コミュニケーション不足(事故情報の共有不足など)

例えば、左折時に自転車とぶつかった際に、天気が悪くてぶつかった場合と左折先をよく見ていなくてぶつかった場合、どちらも抽象的に表現すると「よく見ていなかった」になりますが、よく見てなかった理由がそれぞれ違います。そこの違いを、分析せずに対策を考えてしまうと真因からズレた対策になり事故を減らすことができません。

2024年は運送会社にとって変化の1年になります。このタイミングで自社の教育方法を見直し、事故が減る環境の構築を進めていきましょう。

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追突事故が起きる原因としては、漫然運転や動静不注意などいわゆる運転に集中できていないこと、車間距離が不足しているという事があげられますが、それらはドライバーの運転の癖が大きく影響しています。

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