運送業の歩合給(出来高払)の考え方
目次
運送業の歩合給のいま
ドライバー職の賃金として、歩合給(出来高払)を取り入れている会社は多いと思います。
歩合給とは、売上や業績によって賃金が決まるものですが、法律ではっきりと定義されているものではなく、その設定方法は各社さまざまです。
ドライバー職の歩合給の例
・売上から、燃料代や高速代といった費用を除き、決まった割合を支給
・距離や立ち寄り件数に応じて定めた金額を支給
2024年の時間外上限規制とコンプライアンス問題
歩合給は、頑張った分が賃金に反映されるため、従業員のやる気を引き出すことのできる仕組みです。ただ、ドライバー職においては、2024年の時間外上限規制をはじめとするコンプライアンスの問題を考えると、個人の頑張りに任せる方法は限界もあります。ドライバーが割の良い仕事を好むなど、配車にも影響するケースなどもあります。
運送業の歩合給の考え方
また、残業代などの割増賃金を計算する際、歩合給の考え方には注意が必要です。通常の労働時間に対する賃金と、歩合給とでは計算方法が異なります。
通常の労働時間を超えた割増賃金は、「所定労働時間(会社で決めた労働時間)」によって時間単価を計算するのに対して、歩合給は時間外労働も含めた「総労働時間」を使って時間単価を計算します。
これは歩合給の場合、「労働時間を費やした結果、歩合給分を稼いだ」と考えるためです。
出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の割増賃金(H11.3.31基発168)
時間外割増賃金 = 出来高払給 ÷ 総労働時間 × 0.25 × 時間外労働時間
深夜割増賃金 = 出来高払給 ÷ 総労働時間 × 0.25 × 深夜労働時間
休日割増賃金 = 出来高払給 ÷ 総労働時間 × 0.35 × 休日労働時間
例えば、配達件数によって手当を支給する場合、その件数をあらかじめ会社が指定するのであれば、それが個人の成果といえるのかはあいまいなところですので、割増賃金計算の際は、「所定労働時間」で時間単価を計算する方が望ましいです。歩合給かどうか判断するには、仕事に対する裁量や、売上などの明確な基準が求められると考えられます。
さいごに
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