管理職育成で強化するコンプライアンス体制

玉川 豪史

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玉川 豪史

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネス支援部
物流HRグループ 評価・賃金チーム コンサルタント

運送会社を専門とする社会保険労務士・行政書士事務所に8年間勤務した後、船井総研ロジ株式会社に入社。労働者との間に問題を抱える中小運送会社に対し、労働紛争の解決や賃金体系の変更など、人事労務コンサルティングに従事している​​。

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2024年4月の改善基準告示改正から、運送業界を取り巻く法規制はますます厳格化の一途を辿っています。相次ぐ法改正と規制強化の中で、企業が持続的に成長し、競争力を維持するためには、正確な労務管理と運行管理が不可欠です。

本コラムでは、最新の法改正動向を踏まえ、運送業者が直面する課題と、乗り越えるための具体的な対策について解説します。

厳格化する法規制と管理職の重要性

2024年4月1日の改善基準告示改正から間もなく1年が経とうとしています。この1年だけでも、2024年10月1日には飲酒運転の厳罰化を含む法改正が行われ、さらに2025年4月1日からは「運送契約書面の義務化」や「多重下請け構造の是正」などを含む法改正が予定されており、法規制の厳格化が止まりません。

さらに、2025年1月には全日本トラック協会の坂本会長が「許可の更新制」について言及し、2025年度での法案成立を目指しているとの報道がありました。この改正により、運送業の許可が5年間の有期制となり、悪質業者の排除が目的とされています。

こうした法改正の流れの中で、適切な労務管理や運行管理を行える管理職がますます重要になってきています。

機器導入だけでは不十分?管理の本質

労務管理や運行管理の観点から、よく「最新のデジタコを導入しているから問題ない」、「車輛が停止して一定時間が経つと自動的に休憩になるので、管理の心配はない」といった声を聞きます。しかし、機器の導入のみで安心してしまうと、管理の本質を見落としてしまいかねません。

例えば、従来の管理では拘束時間のみを管理していれば良かったため、運行記録上は「待機」となっているものの、実際には「休憩」していたというケースが見られます。この場合、拘束時間は守られていても、時間外労働が超過していることがあります。

また、ドライバーが機器を操作しないことで、「出庫→休憩(荷卸)→休憩(荷積)→帰庫」といったように、実際の運行と異なる記録が作成されることもあります。このような管理の不備は、監査時の行政処分の対象となるだけでなく、労働問題発生時に会社が不利になる原因にもなります。

高性能な機器を導入することは決して間違いではありませんが、それはあくまで管理を補助するツールに過ぎません。適切な時間管理を実施するためには、日々の運行終了後に記録を確認し、必要に応じて指導・教育を行う管理者の配置が必須となります。

管理職のスキルアップと企業体制の構築

法改正が相次ぐ現状においては、管理者自身が定期的に最新の法令を取り入れ、それを現場で適用できるスキルを持つことが求められます。

コンプライアンス強化の流れが加速する中、法改正に対応し、変化の激しい運送業界で勝ち抜くためには、正確な労務管理が企業の生命線となります。現状の管理体制を見直し、管理職の育成を推進する企業体制を構築していくことが重要です。

さいごに

今後ますます人材不足が進む中で、企業が持続的に成長するためには、管理職の役割を再定義し、育成を経営戦略の一環として位置づけることが不可欠です。

当社にて、2025年4月より開講する「物流会社の将来を担う人材を育成する管理職研修」では、トップの考えを理解し、具体的な行動に移せる管理職を育成します。

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