物流業界のM&Aを成功させるためのデューデリジェンス(DD)注意点とは?

梶谷 昂史

Pen Iconこの記事の執筆者

梶谷 昂史

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネスコンサルティング部

≫ 物流企業向け経営コンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

物流業界のM&Aでは、デューデリジェンス(DD)が不可欠です。買い手企業は、DDを通じて譲渡企業の現状を把握し、潜在的なリスクを洗い出すことで、M&A後の統合をスムーズに進め、シナジー効果を最大化できます。

ここでは、物流業界のM&AにおけるDDで特に注意すべき点を解説します。

円滑なM&Aのための情報開示

M&Aを成功させるためには、譲渡企業は買い手企業に対して、あらゆる情報を正確かつ詳細に開示することが重要です。

財務状況、事業内容、顧客情報、従業員情報など、多岐にわたる情報を事前に準備し、スムーズな情報開示を実現することで、買い手企業との信頼関係を構築することができます。

  • 【準備すべき基本的な資料】
  • ・財務関連資料(決算書、税務申告書など)
  • ・事業関連資料(顧客リスト、契約書など)
  • ・法務関連資料(定款、契約書など)
  • ・労務関連資料(従業員名簿、雇用契約書など

買い手企業が上場、非上場なのかによって、求められる情報レベルも変わってきますが、多くの荷主、元請けとの契約が様々な形で締結されているため、直ぐに見つからないパターンが多いので、事前に準備しておくことが重要です。

物流M&Aで注意すべき労務管理

物流業界では、長時間労働や人手不足が課題となるケースが多く、労務管理はDDにおいて特に重点的にチェックされます。買い手企業は、譲渡企業が法令を遵守し、適切な労務管理を行っているかを厳しく評価します。労務管理に関する問題点は、M&A後の訴訟リスクや風評被害に繋がる可能性があるため、事前に是正しておくことが重要です。

  • 【具体的な評価例】
  • ・労働時間管理(労働時間の記録、残業時間など)
  • ・賃金管理(賃金体系、残業代の計算など)
  • ・雇用契約(雇用契約書の記載内容、就業規則など)

事業継続性と将来性の評価

物流網や設備は、物流業界のM&Aにおいて事業継続性と将来性を左右する重要な要素です。買い手企業は、これらの資産が効率的かつ安全に運用されているか、将来的な需要に対応できる能力を備えているかを評価します。

  • 【具体的な調査ポイント】
  • ・物流拠点(立地条件、規模、設備状況、老朽化の程度など)
  • ・輸送車両(保有状況、種類、積載量、年齢、整備状況など)
  • ・物流設備(搬送設備、保管設備、荷役設備、情報システムなど)
  • ・物流ネットワーク(輸送ルート、配送エリア、協力会社との連携体制など)

特に、買い手企業が対象会社を分析するにあたって、各車両の売上、拠点や荷主別の収支を正確に管理した資料を準備しておくことで、シナジー効果をより発揮できる事業計画策定が可能となります。

さいごに

物流業界のM&Aでは、業界特有の規制や法令、市場動向などを考慮したDDが必要です。専門家の知見を積極的に活用し、適切なDDを実施することで、M&Aのリスクを最小限に抑え、成功の可能性を高めることができます。

【関連ダウンロード資料】グループインで経営の選択肢が各段に広がる 物流M&A生き残り戦略

物流業界生き残り戦略_無料ダウンロード_船井総研ロジ株式会社

本資料では、物流業界の倒産・M&A件数の実態、シナジー効果についてや、「多重下請け構造」の変化について、くわしく解説します。

  • 【資料を読むと以下のようなことがわかります】
  • 物流業界の倒産・M&A件数の実態
  • M&Aによるシナジー効果
  • M&Aの傾向・分析・具体実例
  • 物流業界特有の「多重下請け構造」にも変化
物流業界のM&Aを成功させるためのデューデリジェンス(DD)注意点とは?

サービス/ロジスティクスプロバイダー経営研究会

概要
業績アップに特化した物流企業が集まる経営研究会!船井総研ロジが主催する研究会は、日本の物流業界をけん引する企業が一堂に会し、業績アップのノウハウを学びます。
詳細
https://www.f-logi.com/butsuryu/society/

梶谷 昂史

Pen Iconこの記事の執筆者

梶谷 昂史

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネスコンサルティング部

≫ 物流企業向け経営コンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

その他の記事を読むArrow Icon

人気の記事

ページの先頭へ