物流現場社員が報連相してくれない原因は、「知らない」「言えない」から
「商品事故があったのに報告してくれない」、「納品先でルール変更があったのに共有してくれない」など、報連相が上手くいかない(してくれない)主な理由は、1.心理的要因と2.環境・組織的要因、そして3.スキル・手段の未習得が複合的に絡み合っていることです。
本コラムでは、部下が報連相をしてくれない主な理由を、心理的、組織的、スキル的な3つの側面から掘り下げ、課題を解決するための具体的なアプローチについてお伝えします。
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目次
風通しの良い職場が報連相の質を向上させる
1.心理的要因「言えない」
①失敗への恐れ:ミスを報告した後に責任を追及されることへの恐れ・プレッシャーから、問題を一人で抱え込んでしまう。
②上司への苦手意識:上司が常に忙しそうで話しかけにくい雰囲気をとっていたり、過去の対応が厳しかったりすると、部下は話しかけづらくなる。
③プライドの高さ:自分の力で解決したいというプライドから、相談することを「弱みを見せること」だと感じ、報連相を避ける。
④余裕のなさ:自分の仕事で手一杯で、報連相をする余裕がない。
2.環境・組織的要因「言えない」&「知らない」
①報連相の目的・ルールの不徹底:「なぜ報連相が必要なのか」という目的や、いつ、どのように報告・連絡・相談するのかという具体的なルールが共有されていない。
②職場のコミュニケーション不足:日頃からコミュニケーションが活発でなく、職場の風通しが悪く、報連相を実践する機会が生まれにくい。
③上司の協力不足:部下から報連相があっても、上司が最後まで聞かずに遮ったり、一方的に叱責したりするため、報連相を阻んでいる。
3.スキル・手段の未習得「知らない」
①伝え方の不明確さ:5W1Hで分かりやすく伝えるなど、報連相をスムーズに行うための具体的な伝え方や、適切な言葉選びがわからない。
②適切なタイミングを逃す:報連相するタイミングを計っているうちに、伝える機会を失ってしまう。
③手段の選択ミス:口頭や電話、メールなど、報連相の内容や緊急度に応じて最適な手段を選べていない。
これらを解消するには、報連相の重要性を周知し、具体的なルールや伝え方を共有し、心理的な安心感のある職場環境を醸成することが不可欠ですが、「現場の雰囲気は悪くないのに報告があがってこない・・・」といった会社が多いと思います。
このような場合、優先すべき対策は2点です。
①コミュニケーションツール(IT分野)を導入し報連相の内容・質に差が生まれないようフォーマットを整え、いつでも報告、上司からフィードバックができるよう環境を整える。「知らない」を仕組みで解決する。
②無事故手当などペナルティ要素の高い報酬制度をなくす。
仕組みと制度が整うことで、報連相は義務から自然な行動に変わります。
さいごに
報連相の重要性を周知するにしても、何を報告すればいいのか、重要度は人によって変わりますし、罰則があればできるだけ隠そうとしますので、仕組みや制度でカバーするようにしましょう。