IT導入補助金の採択率をグッと上げる2つのポイント

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柴田 純平

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネスコンサルティング部
チームリーダー チーフコンサルタント

運送・物流会社を専門に「デジタル化」をメインテーマとしてコンサルティングを行っている。企業規模や課題・目的にあわせた、最適なデジタルシフトの提案や、デジタルツール導入支援を得意としている。特に、AI-OCR・RPA・BIなど、本当に現場で使えるデジタルツールの策定ノウハウを数多く持っている。

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2022年3月31日に「IT導入補助金2022」に関する情報が公開されました。今回のコラムでは、中堅・中小の物流企業がIT導入補助金を活用するためのポイントを解説します。

そもそもIT導入補助金とは?

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者が労働生産性向上に役立つITツールを導入する際に、その経費の一部を行政が補助する制度です。まずは、IT導入補助金の3つの枠組みについて紹介します。

①通常枠 A/B型

通常枠 A/B型|IT導入補助金2022

A類型における賃上げ目標は加点項目ですが、B類型は必須要件となっています。また、必要なプロセス数にも違いがあります。

必要なプロセス|IT導入補助金2022

プロセス数とは、導入するITツールの機能の数にあたります。1つのITツールに業務プロセスの中から1つ以上が必要となりまます。汎用プロセスは業務プロセスと組み合わせることで1カウントされるため、単体ではカウントされません。また、同じプロセスに当てはまる2つのツールを導入する場合はプロセス数のカウントは1となるため、プロセスは横断してカウントする必要があります。

②デジタル化基盤導入類型

デジタル化基盤導入類型|IT導入補助金2022

デジタル基盤型は、会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトの経費の一部を補助し、会計・受発注・決済・ECに限定している点が通常枠との違いになります。

③複数社連携IT導入類型

複数社連携IT導入類型|IT導入補助金2022

デジタル化基盤導入類型と複数社連携IT導入類型は、1社でITツールを導入するか、複数社が連携してITツールを導入するかの違いです。

IT導入補助金の活用方法

IT導入補助金の対象ツール

上記の①・②・③のどれかの枠に当てはまるツールであれば、どんなツールでも補助金の対象になるのかというと、そうではありません。

IT導入補助金は、IT導入補助金支援事業者と補助金を活用する中小企業がタッグを組んで、IT導入補助金事務局に申請する補助金となっています。

そのため、中小企業単体では申請が不可能です。IT導入補助金支援事業者を下記サイトを活用するなどして見つけましょう。(参考:IT導入支援事業者・ITツール検索

IT導入補助金支援事業者が決まったら

支援事業者が決まった後に、ITツールの提案を受け、ツールの選択・事前準備を行い交付申請を行います。その後、ツールの契約・納入を行った後に、事業実施報告を行います。

そのため、補助金は申請したツールの費用を全額支払いを行った後、「事業実績報告」という申請を行ったのちに振り込まれるので、キャッシュフローに注意が必要です。

手続きの流れ|IT導入補助金2022

採択の確率をグッと上げる2つのポイント

実は、IT導入補助金の採択率は決して高くありません。しかし、下記2点をしっかり押さえることで採択率がグッと上がります。

①IT導入補助金の目的を理解する

IT導入補助金の目的は、ツールを安く購入することではなく「労働生産性を向上させること」です。実際の数値に変換すると、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上および、これらと同等以上の効果が出るツールを導入する費用に対して補助金が交付されます。申請の際に計画数値を入力する項目がありますので、これらの数値を押さえて入力する必要があります。

また、行政が交付する補助金のため「人員削減を実現して、労働生産性が上がる予定です」と記載すると、雇用機会を減らしている印象を与えるため、“売上が上がる” “原価が下がる” “労働時間が減る”といった観点で記載することが望ましいです。

②申請内容に一切不備がないこと

当たり前のことかと思われますが、不採択の原因の多くが申請内容の不備だと言われています。1次申請で不採択となった場合も、2次・3次等で再申請することは可能ですが、不採択の理由を教えてもらえません。そのため、スケジュールには余裕を持ち、内容に不備・誤脱がないか十分に確認したうえで申請しましょう。

IT補助金活用に向けて今からできること

上記を踏まえた上で補助金活用に向けて、今からできることを解説します。

1.IT導入支援事業者・ITツールの検索

まず、具体的に導入したいツールが定まっている企業は、先ほども紹介したように自社のニーズに合ったIT導入支援事業者・ITツールを検索し、実際にお問合せを行いましょう。そこで、具体的な進め方を確認と、過去のIT導入補助金採択の実績なども確認すると良いでしょう。

2.gBizIDプライムを取得

次に、具体的に導入したいツールは決まっていないが今後補助金を利用する可能性がある企業は、「gBizIDプライム」を取得しましょう。gBizIDとは、1つのアカウントで複数の行政サービスにアクセスできる認証システムです。利用することのできる行政サービスについては順次拡大しています。

現状、IDの登録・利用に料金はかかりません。申し込みは簡単ですが、アカウント発行までに日数がかかるため、IT導入補助金を活用する可能性が1%でもある場合は、今すぐ登録しておくことをおすすめします。

gBizID 取得はコチラhttps://gbiz-id.go.jp/top/

さいごに

何度もお伝えしますが、IT導入補助金は、労働生産性を向上させるための制度です。

物流業界は他業界と比較してもDX・デジタル化が急務の課題となっています。しかし、ツールを導入するにも購入≫導入≫定着までに時間とお金の投資が必要になりますので、IT導入補助金を上手く活用することを強くおすすめします。

当社は「中堅・中小物流企業向け経営コンサルティングサービス」を提供しています。IT導入補助金に関する御相談やサポートも承っておりますので、いつでもご相談ください。

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