2024年問題 先進運送会社の対応事例
2024年4月からの時間外労働の上限960時間規制、いわゆる2024年問題までいよいよ3年を切り、各社対応に頭を悩まされています。
そんな中、すでに293時間は遵守し、270時間に向けてさらに取り組みを進められている、先進的な運送会社もあります。
そのような企業の取り組みを見てみると、下記のような切り口にまとめられます。
先進運送会社の対応事例
1.荷主企業への交渉
労働時間の削減によって、ドライバーの給料が減らないように運賃値上げ交渉は当然考えられているかと思います。
荷主側も当然物流費予算があるため、運賃値上げの一本槍ではなく、コースの見直しや待機時間削減の提案など、複数の改善案を検討し、提案することが重要です。
1)運賃値上げ
標準的運賃水準も参考に、原価計算から適切な運賃の提示・交渉する。
2)附帯作業の料金収受
今まで無料サービスとして行っていた、棚入れや積込み・取卸し作業などの対価として料金をいただく。または、荷主側で実施してもらう。
3)待機時間の削減
積み込み時に2時間以上の待機が発生している場合、別途待機時間料をいただく。または、待機時間を削減してもらうよう、荷主側に要請する。
4)集荷・積み込みカット時間の早期化
今までの集荷の最終締め切り時間を1~2時間早める(特に、集荷拠点から1時間以上離れているエリア)。
5)時間指定の見直し
午前着や○○時着などの指定が多く、配送効率が悪化している要因となっている場合、着時間指定を外したり、時間変更してもらったりと打診・交渉をする。
2.労働時間管理の徹底
デジタコで時間管理をされている企業は多いと思いますが、先進運送会社では、とくに休憩時間管理に注力されています。車が止まっている=休憩とはみなされないので、デジタコへの記録や運転日報への記載を徹底されています。
なお、労務トラブルを防止するためには、休憩に関するルールを就業規則などで明確にし、周知・運営することをお勧めします。
3.運行効率の向上
奈良県に本社を構え、長距離輸送を主体とされている富士運輸様では、GPSによる動態管理を18年前から導入されています。乗務員の現在地と時間を把握し、次の運行の積地を決めることで、空車率を下げています。
また、毎朝、主要荷主に対して空車情報メールマガジンを配信しています。それも、GPSと連動しており、空車場所・時間や車種、希望方面などが一目でわかるようになっています。
これらの取り組みにより、運行効率を高められています。
4.輸送形態の変更
香川県に本社を構える朝日通商様では、長距離輸送を一人のドライバーが担当するのではなく、4名体制でリレー輸送を実現されています。
四国と関東の長距離を、中間地点となる滋賀県甲賀市で車両を乗り換え、それぞれの発地に戻り、幹線輸送の前後の集荷・配達はまた別のドライバーが担当することで、労働時間を削減しています。
5.DX推進による生産性向上
千葉県に本社を構え、路線の集配をメインにされている東運輸様では、AIによる物量予測システムを導入・活用されています。
昨年の物量実績(個数・件数・重量など)や天候などの関連データをAIが分析することで、物量の予測を算出。その予測をもとに人員配置の最適化を図ることで、一人当たりの労働時間を月間平均15時間削減することに成功しています。
必要な対策と実践手法を知る
各社の運行形態や荷主との関係性、業務実態によって、とるべき施策は異なると思いますが、自社なら何から取り組むべきかを考える参考になれば幸いです。
なお、船井総研ロジでは、2024年問題解決に向けた人事・賃金制度構築の無料相談を承っております。
労務管理や賃金制度、荷主交渉、デジタル化などをテーマに、各切り口からどのように対策すべきか提言します。
2024年問題に向けて、運賃・条件交渉や、人事・賃金制度の見直しを進めようとされている企業は、ぜひ相談サービスをご利用ください。
また、当社は物流企業に特化した経営コンサルティングサービスを提供しています。上記で紹介した取り組みのほかにも、デジタル化、営業戦略・マーケティング施策や採用、中期経営計画の策定など、物流企業の業績アップをご支援しています。
いつでも、お気軽にご相談ください。
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